3月末決算の土木業ですが、事業拡大を目的として建設重機を購入することにしました。3月下旬に建設重機を注文したところ、納入時期が翌期にずれ込んでしまって、特別償却を計上することができなくなりました。
1.ポイント
決算期間際で設備投資をする場合は、対象資産を事業に使っていることが適用要件となるため、納入していない場合には、特別償却を受ける事はできません。
特別償却や税額控除を適用して、設備投資を検討する場合には、決算期の間際ではなく、事前に決算の見込みを予測して計画的に行うことが重要です。決算間際での設備投資は、事業年度末日までに納入できず、結果的に優遇措置が受けられなくなる他、設備投資により、資金が流失してしまうため、納税資金が足りなくなることも想定しなくてはなりません。
2.解説
(1)中小企業投資促進税制
対象は青色申告書を提出する中小企業者等で、平成29年4月1日から令和3年3月31日までの期間(以下「特定期間」といいます。)内に、新品の機械及び装置などのうち特定経営力向上設備等に該当するものの取得等をして、これを国内にあるその中小企業者などの営む指定事業の用に供した場合には、取得価額の全額の償却(即時償却)若しくは取得価額の7%又は10%相当額の税額控除が認められます。
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従来制度 |
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対象資産 |
機械装置 |
全て(1台160万円以上) |
工具 |
測定工具及び検査工具(複数合計120万円以上) |
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ソフトウェア |
70万円以上 |
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貨物自動車 |
車両総重量3.5t以上 |
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内航船舶 |
取得価額×75% |
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特別償却 |
基準取得価額×30% |
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税額控除 |
基準取得価額×7% |
※1:拡充制度の対象資産は生産性向上設備投資促進税制の生産性向上設備等に該当する者に限る。
※2:特定中小企業者等とは、中小企業者等のうち資本金の額又は出資金の額が3,000万円以下の法人等をいう。
※3:税額控除は、当期の法人税額の20%を限度とする。
(2) 機械装置等が特定経営力向上設備等に該当する場合
中小企業者などが、特定期間内に、生産等設備を構成する機械及び装置、工具、器具及び備品、建物附属設備並びに特定のソフトウェアで中小企業等経営強化法の経営力向上設備等に該当するもののうち一定の規模のものの取得等をして、国内の対象事業の用に供した場合には、その事業の用に供した事業年度において、即時償却又は7%(特定の中小企業者などについては10%)の税額控除ができます。
いずれにせよ、この制度の適用対象事業年度は、指定期間内に適用対象資産を取得し又は制作して指定事業に用いた場合に、その指定事業年度に用いた日を含む事業年度となります。そのため、今回の建設重機を取得し、事業に用いた年度は、翌期となってしまうため、今期にこの制度を適用することができないということになります。