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運送業において、売上の繰り延べ、あるいは売上除外をした場合、どうやって税務調査官はその不正を見抜くのでしょうか。
1.原始資料からの調査
一般貨物自動車運送事業者は、貨物輸送の安全確保の観点から様々な業務資料の作成及び保存が法律で義務付けられています。その履行状況はトラック協会による巡回指導や運輸局による抜きうち「監査」等によりチェックされ、作成義務を怠ると、営業停止や運送業許可剥奪等大きなペナルティを受けます。以下のような資料が作成や保存を義務付けられています。
- 点呼記録簿:法定保存期間1年(貨物自動車運送事業輸送安全規則7⑤)
アルコールの摂取がないかどうかの乗務前(中)後のチェックを記録。
- 運転日報:法定保存期間1年(貨物自動車運送事業輸送安全規則8①)
乗務員の乗務ごとの基本的な運行記録(乗務時間、運行経路、運行距離、積載状況等)。
- タコグラフ:法定保存期間1年(貨物自動車運送事業輸送安全規則9)
24時間ごとの走行状況(距離、速度、運行・停止状況)が、トラックの動力システムから機械的・電気的に計測されて記録されるもの。
- 運行指示書:法定保存期間1年(貨物自動車運送事業輸送安全規則9の3)
会社が作成し乗務員に携行させるべき書類。運行計画が記載。
調査官は、以上のような書類から運行状況を知らせ、それに対応する売上高が計上されているかどうか確認していくのです。そしてこれらの書類が改ざんが加えられていない信用できる者から確認します。例えば、運転日報と運行指示書の記載内容との整合性や、運転日報と運行指示書及びタコグラフの走行距離の整合性等です。
2.税務上の対応
原始資料からすべての運行状況を洗い出しし、売上の照合作業を行い、売上の繰り延べ、売上除外が行われていれば、修正する必要が出てきます。原始資料から追われると、言い逃れができませんから、見解の相違とは言いづらいですね。留保加算処理がなされ、過少申告加算税の対象となります。