過少申告加算税における「正当な理由」

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最高裁平成18年4月20日第一小法廷判決

(事件概要)

X:(原告・被控訴人=附帯控訴人・被上告人)国税OBの脱税税理士に仕事を依頼しちゃった人

Y:(被告・控訴人=附帯被控訴人・上告人) 雪谷税務署長

Xが依頼した税理士は虚偽の記載をしてゼロの確定申告を作成。YはXに対して臨場調査。さらに重加算税を付加。Xは処分の取り消しを求めて出訴。

1.論点

過少申告加算税における正当な理由とは。税理士が確定申告書を虚偽で作成した場合は?

2.判旨原判決破棄、Xの請求棄却

過少申告加算税は、過少申告による納税義務違反の事実があれば原則としてその違反者に対して課されるもの。正当な理由があると認められる場合とは、真に納税者の責めに帰することのできない客観的事情があり、納税者に過少申告加算税を付加することが不当、又は国になる場合を言う。また、主観的責任の追及という意味での制裁的要素は重加算税に比して少ない。

税理士が隠ぺい仮想行為をして脱税することは予想できなかったとしても、税理士の言葉を信じて確認しないことは、落ち度があったとみられる。但し脱税行為に加担した事実は認められない。

過少申告加算税について言えば、国税通則法65条4項に言う正当な理由があると認めることはできない。

3.解説

納税者は納税申告をゆだねた第三者の行為についても強い注意義務を負い、税務署職員が第三者による過少申告を看過しただけでは、納税者は過少申告加算税を免れない。しかし税務署職員が第三者による過少申告に積極的に加担した場合は、職員が納税者に対して違法な職務執行したことになる。納税者がこうした第三者及び税務署職員の行為を具体的に認識、回避する可能性がなかった場合、職員の違法な職務執行により実現した過少申告を理由に納税者に制裁を課すことは信義則に反し認められない。

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