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(双輝汽船事件)
最高裁平成19年9月28日第二小法廷判決
(事件概要)
X:(原告・被控訴人・上告人) 双輝汽船
Y:(被告・控訴人・被上告人) 今治税務署長
A:Xの100%子会社 パナマ
Aを設立した後も、資産、負債、損益は全てXに帰属するものとして法人税及び消費税の申告を行っていた。YはAがタックスヘイブン対策税制が適用され、租税特別措置法第2条2号の範囲でしかAに発生した損失を考慮できないと更正処分を行った。
1.論点
租税特別措置法66条の6第1項は、特定外国子会社等に関して、一定の要件を満たす内国法人について一定額をその内国法人の益金の額に算入すると規定しており、特定外国子会社等が損失を計上していたとしてもこれを損金の額に算入するといった規定はない。しかし同条2項2号において7年を限度として繰越控除を認めており、これに基づき、特定外国子会社等に欠損があったときにタックスヘイブン税制が適用されないといえるかどうか。
2.判旨 上告棄却
特定外国子会社等に生じた欠損の金額は、法人税法22条3項による内国法人の損金の額に算入されないことは明らか。以上からすれば、特定外国子会社等の留保所得について内国法人の益金の額に算入すべきものとしたこととの均衡等に配慮して、その未処分所得の金額の計算上現行法上7年間の繰越控除を認めることとしたと解される。法律上のAの事業活動に係る損益はAに帰属し、Xには帰属しない。