医師優遇税制と修正申告

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最高裁平成2年6月5日第三小法廷判決

(事件概要)
X:(原告・被控訴人・上告人)歯科医師
Y:(被告・控訴人・被上告人)筑紫税務署長

社会保険診療報酬による事業所得は実額経費に変えて、収入金額に法律で定める一定の率を乗じたもの(概算経費)を必要経費とできる。確定申告後、概算経費の方が有利であると判断して算出。その後自由診療収入の計上漏れがあったこともあり、修正申告。なお社会保険診療収入報酬分は実額経費で申告。
YはXの修正申告のうち社会保険診療報酬の必要経費を実額経費から概算経費に改めた上で更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分。

1.論点
確定申告において措置法26条1項の規定を適用して概算経費を計上した場合、その後修正申告においてこれを実額経費に変更することが許されるかどうか

2.判旨 原判決破棄、控訴棄却
納税者である医師が確定申告書において措置法26条1項の規定により事業所得金額の計算をした旨の記載をしていない場合でない限り、同項が適用され、概算経費が控除されるべき必要経費となる。
実額経費よりも概案経費の方が有利と判断して概算経費選択の意思表示をしたというのであるから、概算経費選択の意思表示は錯誤に基づくものであり、Xの事業所得金額の計算上その診療総収入から控除されるべき必要経費の計算には誤りがあったというべき。
国税通則法19条1項1号によれば、確定申告に係る税額に不足額があるときは修正申告できる。本件はそれに該当する。修正申告に当たり、確定申告における必要経費の計算の誤りを是正する一環として錯誤に基づく概算経費選択の意思表示を撤回し、所得税法37条1項等に基づき実額経費を社会保険診療報酬の必要経費として計上できると解するのが相当。

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