フリーランスのエンジニアに対する支払いで外注費か給与かを分ける基準とは

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社内システムの構築を請け負っている会社において、フリーランスのシステムエンジニアと業務委託契約を締結して、メンバーとして関わらせて、その報酬を外注費として処理しています。何の問題もないのでしょうか。

1.税務調査官はどこを見るか
業務委託契約でその報酬を外注費として処理していれば、消費税の課税仕入れとなります。しかし、メンバーとして業務委託先を関わらせ、しかも指揮命令権に属しているようであれば、それは業務委託契約にならず、実質的に給与となる可能性があります。業務委託契約というからには、完成品の納入に対して支払われるものでなければならず、委託会社の指揮監督の下であってはなりません。より詳細な区分は次のようになります。

(a) その契約に係る役務の提供内容が他人の代替を容れるかどうか。
代わりがいれば外注費です。

(b) 役務の提供に当たり事業者の指揮監督を受けるかどうか。
一番のポイントと言えます。指揮監督を受ければ給与、受けなければ外注費です。

(c) 引渡ができていない完成品が不可抗力のため滅失した場合、権利として既に提供した役務に係る報酬の請求をできるか。
請求できなければ請け負う契約といますので外注費に該当します。

(d) 役務の提供に係る材料や用具などを供与されているか。
業務受託先が自分でパソコンやソフトウェアを用意すれば外注費と言えます。

2.税務上の対応
業務委託契約であれば消費税の課税仕入れとなりますが、給与は課税仕入れがありません(不課税取引)。そのため、課税仕入れでなく、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出していないと思われますので、源泉徴収税額表の「乙欄」(要するに源泉徴収がたくさん持っていかれる)が適用されます。もっとも業務委託契約でも仕入先が法人の場合には、源泉徴収義務はありませんが、支払先が個人であれば、報酬について、源泉徴収義務が発生します(所法204①)。

つまり、源泉所得税と消費税等の追徴課税が行われます。仮に月額55万円(消費税込)で外注費として支払っていれば、課税仕入分5万円と分けて、報酬額50万円を費用として法人税は計算されていると思われますので、課税仕入が認められない分、その5万円も給与という損金になりますから、法人税の所得金額からは多少減算されることになるでしょう。

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