返還不要の敷金の収益計上

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不動産貸付業ですが、所有する物件について、20年の定期建物賃貸借契約を締結し、契約締結時に敷金を受領し、その後は毎月家賃収入を得ることになりました。敷金については、受領した金額のうち、1,800万円については返還を要しないものとする契約となっていたため、会社の経理上、契約期間である20年で均等で償却することとし、今期は90万円を雑収入とする会計処理を行っていました。

1.ポイント
返還不要の敷金については、支払う側と受け取る側で法人税法上の取扱いが異なります。支払った側は、一時に費用にするのではなく、契約期間と5年との短い方の期間で按分して償却をしますが、受け取った側では受け取った時点で全額を収益としなければなりません。

2.解説
返還不要な部分の敷金の受領分について、収益計上の考え方は基本的には3つとなります。

(a) 返還不要と契約書で取り交わした時点
(b) 賃貸借契約書に記載されている契約期間を通じて均等に
(c) 3つ目は、賃貸借契約の終了時点において

返還不要な敷金を受け取った場合、契約締結時、もしくは敷金の返還をしないこととなった日の属する事業年度に一括して計上する必要があります。

逆に返還されない敷金を支払った側は、支払った期に全額ではなく、法人税法上の繰延資産として原則5年で償却することになります(法人税法基本通達8-2-3)。

なお、所得税の基本通達によれば、以下のようになります。

(返還を要しなくなった敷金等の収入すべき時期)
36-7 不動産等の貸付けをしたことに伴い敷金、保証金等の名目により収受する金銭等(以下この項において「敷金等」という。)の額のうち、次に掲げる金額は、それぞれ次に掲げる日の属する年分の不動産所得の金額の計算上総収入金額に算入するものとする。

(1) 敷金等のうちに不動産等の貸付期間の経過に関係なく返還を要しないこととなっている部分の金額がある場合における当該返還を要しないこととなっている部分の金額:36-6に定める日

(2) 敷金等のうちに不動産等の貸付期間の経過に応じて返還を要しないこととなる部分の金額がある場合における当該返還を要しないこととなる部分の金額:当該貸付けに係る契約に定められたところにより当該返還を要しないこととなった日

(3) 敷金等のうちに不動産等の貸付期間が終了しなければ返還を要しないことが確定しない部分の金額がある場合において、その終了により返還を要しないことが確定した金額:当該不動産等の貸付けが終了した日

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