特定資産の買い替え特例が使えなかった

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不動産販売業を営む業者が、販売用ではなく、自社利用の土地について買換えを行うことになりましたので、特定資産の買換えの場合等の課税の特例を適用して不動産売買を行うことにしました。しかし、実際の不動産の引き渡しが翌期になってしまいました。

1.ポイント
法人税法上、益金の計上の時期とその他の課税上の特例を受けるための要件が、必ずしも一致しているとは限りません。譲渡益を計上しているのだから、当然にその譲渡益に係る課税の特例も使えるものだと考えることができない場合があります。そのため、要件の一つ一つを細かく確認して取引を進める必要があります。

2.解説
建物や土地等の資産を譲渡した場合、譲渡価額によっては多額の売却益が発生することがあります。そこで、国が特定の地域から他の地域へ事業所を誘導したいような場合、この売却益がネックとなって、スムーズに事業所の移転が進まない恐れがあるため、特定資産の買換えの場合等の課税の特例を設けることで、一定の要件を満たす資産の買換えについては、売却益を買換え資産の取得価額から減額して、多額の売却益の計上で税負担が大きくならないように考えられています。

通常、固定資産の譲渡等による収益の帰属の時期については、法人税法基本通達2-1-14において、「その引渡しがあった日の属する事業年度」か、「土地、建物その他これらに類する資産である場合において、法人が当該固定資産の譲渡に関する契約の効力発生の日の属する事業年度」とされていますので、法人が従来継続して契約基準により譲渡等の収益を計上している場合には、引渡しの前に譲渡益が計上されることになります。

一方、特定資産の買換えの場合等の課税の特例について、その適用要件については、「資産の取得」ということになっています。資産の取得とは、契約書を取り交わすのみでは足りず、実際に資産の引渡しが必要となりますので、資産の譲渡の契約書と買換え資産取得の契約書を同じ日にしていたとしても、譲渡益の計上時期と買換え資産の取得時期が期をまたいでしまうことによって、課税の特例が適用できない事態が生じてしまいます。

また、特例の適用にあたっては多くの要件がありますので、最低限下記のチェック項目は確認しておきましょう。

(a) 特例の適用期間内か。(令和2年3月31日まで)
(b) 棚卸資産ではないか。(不動産業の場合、販売用不動産ではないこと)
(c) 譲渡資産及び買換え資産は特例適用となる資産か。(例:既成市街地等の区域内から区域外への買換え、誘致区域外から誘致区域内への買換え、長期保有資産の買換え等)
(d) 譲渡資産の所有期間要件を満たすか。(10年超の保有要件が必要な場合あり)
(e) 土地の場合、買換え資産の面積制限内か。(譲渡資産の5倍の面積まで)

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