部分的な遺言で小規模宅地等の特例が受けられないことも

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遺言によるとA宅地が自分、B宅地は特に記載がなく、今、弟ともめている状況です。A宅地のみ小規模宅地の特例を取って、相続税を申告しましたが、特例が取れないと言われました。

1.ポイント
小規模宅地等の特例の適用を受ける場合、誰が取得するか「分割」が決まっていなければならないことと、どの宅地からどのくらい(何平米)適用するかの「合意」が必要です。

2.解説
分割とは誰が相続で取得するかということです。例えば遺産分割協議で取得したり、また、遺言で〇〇に相続させると書いておいてもらう(遺贈)ことです。

相続等でその取得が決まってもまだ十分ではありません。それは、適用対象地が複数あった場合には、その複数の土地を相続取得した相続人と話し合いをして、どの宅地からどのくらい(何平米)適用するかの合意が必要となります。

A宅地とB宅地の両方が適用条件を満たす宅地であり、A宅地は遺言で長男が取得することが決まっています。問題はB宅地です。このB宅地については遺言はありませんでしたので、基本的には相続人の話し合いで誰が取得するか決める必要があります。当然決まるまでは相続人全員の共有でありますので、この場合には長男は早急に他の相続人と話し合いをして誰がこのB宅地を相続するかを遺産分割協議で決めなければなりません。その上でB宅地を取得する相続人とどの土地から何平米を適用するかの話し合いが必要となります。
今回そういう意味で、A宅地とB宅地のいずれから何平米適用するかの、相続人全員の「分割」かつ「合意」が必要であったわけです。そのため必要なことは以下の行動です。

(a) A宅地を未分割財産ということにして、「3年以内の分割見込書」を提出し、原則3年以内に遺産分割が終わった後に更正の請求により小規模宅地等の特例を適用する。
(b) 税務調査が行われて更正処分を受ける前に、自主的に修正申告書と「3年以内の分割見込書」を提出し、原則3年以内に遺産分割が終わった後、更正の請求により小規模宅地等の特例を適用する。

中途半端な遺言書によって、小規模宅地等の特例が受けられない場合がありますので十分注意しましょう。

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