公正処理基準~ビックカメラ事件~

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最高裁平成25年7月19日判決

(事件概要)
X:(原告・控訴人)ビックカメラ
Y:(被告・被控訴人・被上告人) 税務署長

Xの行った不動産の流動化につき、証券取引等監視委員会の指導を受け、本件信託財産の譲渡を金融取引として取り扱う会計処理の訂正を行った。この前提とした処理で納付すべき税額が課題になったとして更正。Yが更正すべき理由がないと請求。その取り消しを求めて出訴。

1.論点
一般に公正妥当と認められる会計処理の基準(公正処理基準・法人税法22条4項)と一般に公正妥当と認められる企業会計の基準(財務規1条2項、連結財務規1条2項)との乖離とその適用について。

2.判旨 控訴棄却
法人税法は資産又は事業から生ずる収益に係る法律関係を基礎にそれが実質的に他の法人等がその収益として享受するものであると認められる場合を除き、当該収益が法律上帰属する主体に着目して、法人税の課税に係る同法の規定の適用の在り方を決するものとするところ、信託財産に帰せられる収入および支出について、受益者が特定している場合は、その受益者が当該信託財産を有するものとみなして、法人税法の規定を適用する旨を定めている。
法人が収益等の額の計算に当たって採用した会計処理基準が、法人税法22条4項の言う一般に公正妥当と認められる会計処理基準に該当するか否かについては。企業会計上の公正会計基準として有力なものであっても、当然に、その基準に該当するものではない。

3.解説
まず判決では、Xの当初の処理について、一般に不動産を信託財産とする信託契約に基づく受益権を有償で譲渡した場合には、有償による資産の譲渡に当たり、これにより収益が生じたというべきとして、当該事業年度の益金の額に算入して所得の金額を計算したことが、実体ないし実体を欠くものであったといえないと判断した。
当初の会計処理が公正処理基準に合致していれば、会計処理の事後的な訂正を理由とした更正の請求を認めるべき理由はない。
いずれにしても法人税法固有の観点から、不動産流動化実務指針に基づく処理の公正処理基準該当性を否定したものとなった。

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