年払いの費用が損金として認められなかった事例

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地代等の費用について年間払いしているものを、従来通り費用として処理していました。

1.ポイント
年払家賃でも損金に認められない場合があります。

2.解説
前払の費用について、損金算入が認められるためには、下記の2要件を満たす必要があります。
① 支払った時から1年以内に役務の提供を受けていること。
② 一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用であること。
これを短期前払費用と言います。いくつか事例を挙げて説明しましょう。

(a) 期間10年の賃貸借契約に基づき支払っている店舗の賃料について、毎月月末に翌月分の賃料月額20万円を支払っている。
(b) 期間10年の土地賃借に係る賃料について、毎年、地代年額(翌期4月〜3月分)240万円を3月末に前払により支払っている。
(c) 期間10年の土地賃借に係る賃料について、毎年、地代年額(翌期4月〜3月分)240万円を2月中に前払により支払っている。
(d) 期間5年間のシステム機器のリース料について、12ヶ月分(翌期4月〜3月分)60万円を3月下旬に支払っている。
(e) テレビのコマーシャルを放送する為の広告料金を年間契約により12ヶ月分(3月〜2月分)360万円を2月末日に支払っている。

上記の(a)(b)(d)については、上記①②を満たすので問題はないでしょう。(c)については、翌期2月の時点で、役務の提供を受けられないため、損金に算入することができません。あまり(b)と(c)の違いがないのになぜ、ということですが、(b)は1年以内に役務の提供を受けているわけです。そのため、(c)も1か月先に支払いを延ばせば問題はないのです。また、(e)は1年以内に役務の提供は受けていますが、継続的にという条件を満たしません。結局のところ、3月分については損金処理をし、残りの11か月分は前渡金等の資産計上をすることになります。

なお、利益が出たから今期だけまとめて1年分支払う、というような利益操作のための支出や、収益との対応期間のズレを放置すると課税上の弊害が生ずると認められるものについては、この特例を適用されない場合がありますので、注意が必要です。

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