水商売や飲食店は現金商売であって、銀行振り込みではないので、売上のごまかしができる錯覚に陥ります。まあ、そんなところで隠し切れないのが税務署様です。ごまかしができてしまうと思ってしまうので、申告漏れ所得金額が高額上位なのが、水商売と飲食店ということです。
税務当局が税務調査で重視するのは、人、モノ、カネの流れです。確かにこれらの捕捉が一番困難なのが現金商売であることは確かです。普通の企業であれば、売掛、買掛、銀行送金、継続取引等記録が残りますが、現金商売は足がつきません。
不正業種トップクラスが水商売というのは、脇が甘い、あるいは税務署をどこかで舐めているということもあるかもしれません。現金があると、心に魔法をかけられたように、それを手放したくないという気持ちも起こるに違いありません。そもそも銀行預金で行ったり来たりしていると、数字のやりとりだけですから、脱税に対する気持ちも薄れてくるのではないかと思います。
また、水商売系は、経営者が派手な生活も好きそうです。そのため金銭をねん出する必要があります。もちろん景気がダイレクトに左右する業界ですから、不況のために蓄財をしておきたいという真面目な人もいるのかもしれません。
帳簿や書類を不提示、あるいは破棄をしてごまかそうと思っても、そんなに甘くはありません。実額に代えて、売上、仕入、人件費、経費等の一部の取引記録を基に推計して、課税してきます。これを推定課税と言います。本来は、このような方法ですと、推計に要する時間、その後の異議申し立て、審査請求までの道のりを考えると非常に手間がかかるため、税務署としてもあまり使いたくはない制度ですが、租税正義の実現のため、已むを得ません。とにかく正直者が馬鹿を見るというところだけは避けていただきたいところです。
実は税務署には、日本を代表する繁華街を所轄する税務署には、繁華街担当という専門部署が置かれています。この調査官は主たる業務をアフター5に行います。当然業務の多くを内観調査に頼る必要があるからです。他の職員が帰る頃に私服に着替えて、ターゲットに向かいます。
バーやクラブの不正手法は、正しい売り上げを計上しないような売上除外が多いと思われます。そういえば、クレジットカードですと、結構手数料が取られますね。現金の支払いの方がお得に見せるのも、理由があるに違いないと思うわけです。