小売業者がメーカーの社名やロゴの入った広告宣伝用資産につき、当該メーカーから贈与を受けたときの処理はどのようにしたらよいのでしょうか。
1.広告宣伝用資産の取り扱い
通常、法人が他の者から資産の贈与を受けた場合、その取得した資産の時価に相当する金額の経済的利益を得たものとして課税関係が生じます(法法22②)。そうなると資産の受増益が生じることになりますが、資産の機能は受け取った小売業者が得るものの、広告宣伝の効果があるのはメーカーの方です。そのため、杓子定規に受増益を計上するのは公平とは言えません。そのため、時価ベースの課税に代え、メーカーが取得した当該資産の取得価額の3分の2に相当する額の経済的利益を受贈者が得たものとして課税することとされています。そして以下の場合には経済的利益の額はないものとして取り扱います。
- 算出した経済的利益の金額が30万円以下であるとき
- 広告宣伝用の看板、ネオンサイン等のようにメーカー(贈与側)の広告宣伝のための資産を取得したとき。
2.税務上の対応
例えばメーカー名の入った広告宣伝用資産であり、30万円を超える電光掲示板のようなものは、受け取った方の事業にも使えますから、受増益を計上し、資産の取得価額として認識すべき必要があります。このとき、受益額は、メーカー側の取得価額の3分の2に相当する金額を持って算定し(法基通4-2-1)、償却限度額に相当する金額を損金の額に算入します(法基通7-5-1(4))。