住宅取得資金贈与を活用したが、別居したときの問題

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父が所有する不動産は東京都の自宅ですが、家族の都合で埼玉県に住んでいます。マンションの購入資金も援助してもらいました。先日父が亡くなり、父の自宅について小規模宅地等の特例が受けられないと知りました。

1.ポイント
規模宅地等の減額の特例は、別居の場合には持ち家があると使えません。現金ではなく家を購入してもらった方が良かったと思われます。東京の自宅については売却を検討しておいた方が良いでしょう。

2.解説
事業で使っている土地や居住している土地などは生活のために必要不可欠な財産であるため、相続税の計算についても特例が設けられており、これを「小規模宅地等の特例」といいます。これは、被相続人の居住の用に供されていた土地については、330平米までの部分につき80%が減額されます。

特例を受けるための相続人の要件は厳しく、マイホームを相続した相続人によっては特例が全く受けられない可能性があります。マイホームを配偶者が取得する場合には無条件で特例が適用されますが、配偶者以外の者が取得する場合には、原則として同居が条件となります。この場合の同居とは、相続開始前から同居していて、かつ、相続開始後も申告期限(10ヶ月後)までは継続して居住しなければなりません。

小規模宅地等の特例は、配偶者や同居している親族など、その土地を生活の基盤としている方についての相続税を軽減する制度ですので、別居している方には原則として特例の適用はありません。

借家住まいの方については将来的に実家に戻る可能性も考慮して、別居であっても別居している子供(およびその配偶者も含めて)が「持ち家なし」の場合には特例が適用されます。

なお、この特例の適用を受けることだけを目的として相続開始直前に借家住まいをする方がいることも考慮して、「相続開始前3年以内に一度も持ち家を持ったことがない」ことが要件とされています。したがって、父母の資金に余裕がある場合には、住宅取得資金の贈与ではなく父母名義で子供たちが住むマンションを購入することも検討してみると良いと思われます。

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