海外企業の使用料の支払いに関する源泉税徴収漏れとグロスアップ課税

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海外への使用料の支払いについては、その支払総額の源泉税が課され、その源泉税は支払先が負担するのが原則です。しかしその支払先が繰越欠損金を有するなど、課税所得が出ずに、受領する使用料に課された源泉税が外国税額控除の対象にならないケースがあります。

1.使用料の手取保証契約

このような支払先は特許権の使用許諾契約を締結する際に特許権の使用許諾に係る使用料は「税引き後の手取り額を保証する」という一文を容れるように求めることがあります。使用料の支払者は源泉税が課されるかどうかにかかわらず、契約で定め垂れた金額について確実に受領者が受領できるという契約で、使用料の支払いにつき源泉税が課された場合、当該源泉税は支払者が負担することを意味します。

仮に、使用料の手取保証金額が100で、源泉税が10%であれば、支払者は源泉税分をグロスアップして総額111を支払うことになり、実際には源泉税11を控除した純額100を支払うことになります。源泉税は支払者が納付します。

2.グロスアップ分の法人税の取り扱い

税務調査において手取保証契約の使用料の徴収漏れが指摘された場合、死h来社においては以下の仕訳が必要になります。

<当初>

(使用料)100 (現預金)100

<本来>

(使用料)111 (現預金)100

        (源泉税) 11

<修正>

(使用料) 11  (源泉税)11

源泉税の徴収漏れは11となり、これに対して使用料の当初の支払時点からの不納付加算税(10%)と延滞税が課されます。

なお、支払い法人側の法人税について、グロスアップに伴う使用料の増額分は当初支払時において損金されるべき金額ですから、過年度の申告につき、減額更正を求めることができます。実務上は寄付金とされず、上記取り扱いが認められます(所基通222-1(1))。

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