無配継続で株価が高くなった時の相続

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無配を継続していた赤字会社を経営していた父が亡くなり、相続を行ったのですが、赤字だからと安心しきっていましたけれども内部留保が厚いため、思った以上に株価が高額となり、相続税額も上がってしまいました。

1.ポイント
赤字続きのところに無配も継続していたため、「比準要素1の会社」に該当してしまいました。少しでも配当を出し続けた方が良い場合もあります。

2.解説
非上場株式の評価のうち「類似業種比準価額」は、該当会社の「配当」、「利益」、「純資産」の3要素により評価します。

つまり、この3要素が低くなれば株価も下がることになります。「利益」と「純資産」は簡単にはコントロールできないが、「配当」は会社の判断のみで決定することができます。

そこで、株価を低く抑えるためにも、利益が出ても配当をせずにあえて無配を継続するケースはよくありますが。「比準要素1の会社」に該当してしまう場合には注意が必要です。無配を継続したために、かえって高株価になり、赤字続きであっても、わずかでも配当を継続していれば「比準要素1の会社」は回避できたのです。

非上場株式の評価にあたっては、類似する上場会社の株価に比準させた「類似業種比準価額」と会社の「純資産価額」を基に計算します。一般的に、新興の高収益企業は類似業種比準価額が高くなり、業歴が長く内部留保の厚い企業は純資産価額が高くなる傾向にあります。
会社規模(従業員数、総資産価額、取引金額)により、類似業種比準価額と純資産価額の混合評価または純資産価額のいずれか低い株価を採用します。この混合評価する際の類似業種比準価額の割合は、大会社で100%(純資産価額の割合は0%)、小会社で50%(純資産価額の割合も50%)など会社規模に応じて異なります。ただし、比準要素1の会社に該当してしまった場合は、類似業種比準価額の割合が25%、残り75%は純資産価額を採用しなくてはならなくなります。

会社規模「中会社の小」であったため類似業種比準価額:純資産価額=60%:40%を採用できたのですが、比準要素1の会社に該当してしまったために類似業種比準価額:純資産価額=25%:75%となってしまったのです。

自社の会社規模はどの程度か、自社の類似業種比準価額と純資産価額はどの程度か、といったことは毎年確認しておき、比準要素1の会社にならない配当政策も検討しておきたいところです。

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