医療法人を相続するときの注意点

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

医療法人を経営していた父が他界しました。なんの相続税対策もしておらず、納税資金が払えるかどうか不安です。

1.ポイント
持分の定めのある医療法人の出資金の相続税評価は、株式会社などと同様に非上場株式の評価となり、利益が出ていて純資産が大きければ評価も高くなります。また、医療法人には出資持分を買い取るという考え方がないため、株式会社のように金庫株の特例をとることができません。

2.解説
株式会社の場合、いわゆる金庫株として、自社の株式を発行会社が買い取ることを認めております。売却した株主は配当を受けた扱いとなり、払い込んだ金額を超える部分の金額は「みなし配当」として配当課税されます。個人の場合は所得税・住民税あわせて最大55%程度の税金がかかります。ただし、相続で取得した非上場株式を相続発生後3年10ヶ月以内にその発行会社に売却した場合は、「譲渡所得」として20%程度の税金となります。さらに、非上場株式を相続した時に支払った相続税の一部を取得費に加算して収入金額から差し引くことができます。よって、株式会社の場合は、相続発生後に株式の一部を会社に売却して納税資金を捻出することが一般的な方法の1つです。
一方で医療法人については、医療法により自己の出資持分を自ら買い取るという考え方がありません。相続後に出資金の払い戻し請求をすることはできますが、払い戻しを受けた金額に対しては、「譲渡課税」ではなく、「配当課税」となってしまいます。

そこで、医療法人のオーナーは納税資金の対策が避けられません。対策として一般的なのは、(a)MS法人の活用と(b)死亡退職金の準備があげられます。

(a) MS法人の活用
MS法人とは、メディカルサービス法人の略で、医療行為以外のサービスを行う株式会社等をいいます。例えば、医療法人が利用する不動産をMS法人が所有して家賃を受け取る場合などにより、MS法人に資産を蓄積することができます。また、MS法人の株式を相続した場合は、医療法人とは異なり、金庫株の特例を受けることができます。

(b) 死亡退職金の準備
死亡退職金については、500万円×法定相続人の数まで非課税となり、納税資金として有効です。ポイントとしては、医療法人で過大な退職金とみなされないように退職金規定を準備しておくことや、保険などにより退職金の原資を積み立てておくことなどがあげられます。
また、平成26年度の税制改正により、一定の認定を受けた医療法人については、相続税の納税の猶予を受けることができる制度が開始しておりますので、あわせて検討が必要です。
いずれにしても、医療法人を承継する方については、納税資金対策が必須となりますので生前の準備をしておくことが重要です。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

税理士がいない!税務調査立ち会い代行します

税務調査プロでは、

個人事業主、フリーランスの方など税理士がいない方への

税務調査立ち会い代行サービスを行っております。

お電話でのお問い合わせ:050-3627-7700 まで。


ご相談・お問い合わせはこちら

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*