インターネット物販事業は、物理的な施設としての店舗を持たずに、インターネット上の店舗を持って、そこで受注・販売を行います。取引範囲で分類すると、国内物販、輸出・輸入、販売チャネルで分類すると、プラットフォーム型、ECサイト構築型に分けられます。このような事業の税務処理の問題点について見ていきましょう。
1.所得区分の区別の仕方
事業として行えば事業所得、会社員などの副業レベルであれば雑所得として処理することになります。事業所得はその他の所得と損益通算できますが、雑所得であれば他の所得と損益通算ができませんので、この違いは意外と大きいと思います。
2.売上の注意点
(a) プラットフォームを利用している場合
Amazon等のプラットフォームを利用して販売している場合、セラーセントラ津という管理画面から期間を指定して、売上レポートを表示させることができます。定期間ごとに売り上げ画面をPDF化しておきましょう。また、確定時期も問題になります。例えば、Amazonでは2週間ごとに入金サイクルが訪れますが、気をまたぐ取引は注意が必要です。入金ではなく発生ベースで決算を行いましょう。
(b) ECサイトを構築している場合
システムを構築した場合、どのように売り上げの集計ができるかを考えておきましょう。
3.仕入・在庫の管理
(a) ECサイトで仕入れた場合
Amazon等のECサイトで商品を仕入れる場合、購入の都度、ECサイトの管理画面から確認、印刷・PDF化しておきましょう。
(b)実店舗で仕入れた場合
購入内容がわかるように領収書・クレジットカード明細書を保存しましょう。
(c) 在庫の実地棚卸
プラットフォームを利用して販売する場合には独自の在庫管理機能が備わっているので、その機能を活用しましょう。自社で管理しているときには、期末に実地棚卸を行って、データを実在庫に差があった場合には、原因を確認し、棚卸減耗費等で処理しましょう。
4.経費の種類
事業に関係のあるものしか経費としては認められません。インターネット物販事業において経費として認められるのは、仕入以外であれば以下のようなものです。
費用 | 内容 |
システム利用料 | プラットフォームを利用するために支払う利用料です。 |
販売手数料 | 注文成約時に課金される手数料です。 |
配送代行・在庫保管手数料 | 配送や在庫の保管の代行を依頼する場合には、別途手数料がかかります。これらの手数料は各プラットフォームの管理画面で確認できます。 |
決済手数料 | Paypalのような決済サービスを活用しているのであれば、決済の都度、手数料がかかります。 |
通信費 | プロバイダ料金、通信費等。 |
サーバー・ドメイン代 | 自社のECサイトを持つと必要になりますが、自社でサーバーを持つのは難しいため、レンタルサーバーを活用すると思われます。月額の利用料を計上しましょう。また、ドメイン代もかかります。 |
消耗品費 | 商品を発送する際に段ボールやガムテープが必要になるでしょう。 |
広告宣伝費 | 自社サイトに集客をする場合、広告宣伝費がかかると思われます。 |
研修代 | 情報のアンテナは常にはっておかなければなりませんから、研修を受けて情報収集を行うこともあるでしょう。 |
書籍代 | インターネットからでは正確な情報を得るのが難しいですから、書籍から得なければならないことも少なくありません。 |
交際費 | 業者の接待等で会食をすることがあります。金額が安ければ会議費となるでしょう。 |
外注費 | 商品の数が増えると仕入や発送処理などで作業を街周する場合があります。ECサイトを外部の会社に製作してもらう場合も開発費用が掛かります。 |
交通費 | 実店舗に商品を仕入れに行く等。 |
車両費 | 実店舗に商品を大量に仕入れに行く場合には、車両を使う場合があり、ガソリン代や車両の減価償却費を費用とすることができます。 |
家賃 | 事務所として、あるいは倉庫の家賃が経費になります。 |
水道光熱費 | 事務所、倉庫の水道光熱費が経費になります。 |
修繕費 | 事業で活用した車両の修繕費が発生することがあります。 |
荷造運賃 | 商品をお客様に発送する場合の運賃が経費になります。 |
関税 | 海外から商品を輸入する場合にかかります。輸入許可証は大切に保管しましょう。 |