仮想通貨とは、効果や紙幣のような形ある実体を持っていない通貨のことを言います。行政手続き上は暗号資産と呼ばれています。有名な仮想通貨としては、ビットコイン、イーサリアム、リップル等があります。仮想通貨投資での税務処理について以下見ていきましょう。
1.所得区分
概ね雑所得に区分されると思われますが、以下のような場合には事業所得となります。
‘(a) 当該仮想通貨取引自体が事業と認められる場合
仮想通貨取引の収入で生計を立てている場合が客観的に明らかであるとき。
‘(b) 当該仮想通貨取引が事業所得等の基因となる行為に付随したものである場合
事業所得者が事業用資産として仮想通貨を保有し、棚卸資産の購入や、サービスの支払い決済手段として仮想通貨を使用した場合
2.仮想通貨における主要な所得の計算方法
(国税庁のHPから抜粋)
- 保有する仮想通貨を売却したとき
(例)3月9日 2,000,000円(支払手数料を含む)で4ビットコインを購入。
5月20日 0.2ビットコインを110,000円(支払手数料を含む)で売却。
(答)保有する仮想通貨を売却(日本円に換金)した場合、その売却価額と仮想通貨の取得価額との差額が所得金額となります。上記(例)の所得金額は次の計算式の通り、10,000円です。
110,000円 | -(2,000,000円÷4BTC) | ×0.2BTC= | 10,000円 |
【売却価額】 | 【1ビットコイン当たりの取得価額】 | 【支払ビットコイン】 | 【所得金額】 |
- 仮想通貨での商品の購入
(例)3月9日 2,000,000円(支払手数料を含む)で4ビットコインを購入。
9月28日 155,000円の商品購入に0.3ビットコインを(支払手数料を含む)
支払った。
(答)保有する仮想通貨を商品購入の際の決済に使用した場合、その使用時点での商品価額と仮想通貨の取得価額との差額が所得金額となります。上記(例)の所得金額は次の計算式の通り、5,000円です。
155,000円 | -(2,000,000円÷4BTC) | ×0.3BTC= | 5,000円 |
【売却価額】 | 【1ビットコイン当たりの取得価額】 | 【支払ビットコイン】 | 【所得金額】 |
※上記の商品価額とは、日本円で支払う場合の支払額の総額(消費税込み)を言います。
- 仮想通貨と仮想通貨との交換
(例)3月9日 2,000,000円(支払手数料を含む)で4ビットコインを購入。
11月2日 他の仮想通貨購入(決済時点における他の仮想通貨の時価600,000
円)の決済に1ビットコインを(支払手数料を含む)を使用した。
(答)保有する仮想通貨を他の仮想通貨を購入する際の決済に使用した場合、その使用時点での他の仮想通貨の時価(購入価額)と保有する仮想通貨の取得価額との差額が所得金額となります。上記(例)の所得金額は次の計算式の通り、100,000円です。
600,000円 | -(2,000,000円÷4BTC) | ×1BTC= | 100,000円 |
【他の仮想通貨の時価(購入価額)】 | 【1ビットコイン当たりの取得価額】 | 【支払ビットコイン】 | 【所得金額】 |
※上記の購入価額とは、他の仮想通貨を購入する際に支払う仮想通貨の総額を日本円に換算した金額を言います。
3.経費の処理
以下のようなものが仮想通貨投資における経費になるものと思われます。
パソコン代 | 仮想通貨投資を行うために購入したパソコン代は経費になります。 |
通信費 | 仮想通貨はインターネット上で取引されるものですから、インターネット環境は必須です。従いまして、プロバイダ料金や通信費等を経費にします。 |
電力代等 | マイニングを行っている場合は電力代も経費になります。 |
仮想通貨の売買手数料等 | 売買手数料も経費です。 |
セミナー・研修費用 | セミナーや研修、情報商材の購入費用も経費になります。 |
書籍代 | 仮想通貨投資に関する貴重な情報源です。 |
4.時価評価
仮想通貨は時価評価により評価損益を計上することが義務付けられています(法人税法第61条②③)。