役員に対して無利息で貸し付けを行った

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賃貸仲介をメインとする不動産業者ですが、業績が好調で余剰資金が豊富にあるため、社長と会社間で金銭消費契約を締結しました。無利息を条件としました。

1.ポイント
会社は利益の追求を目的としているため、役員(従業員も同様)に金銭を貸し付ける場合には、利息を徴収しなければなりません。

2.解説
法人税法では経済的利益部分は役員賞与ではなく、役員報酬として損金の額に算入できる(法人税法基本通達9-2-9、9-2-11)一方で、役員報酬と同額の受取利息が計上されるため、損益は変わらず、法人税の所得計算には影響しません。

但し、以下のケースでは、無利息や適正利率以下の利息でも役員報酬に該当しません。

(a) 災害等により臨時的に資金が必要となった場合
災害や病気などで臨時に多額の生活資金が必要となった役員または使用人に、合理的と認められる金額や返済期間で金銭を貸し付ける場合
(b) 合理的な利率と認められる場合
会社における借入金の平均調達金利など合理的と認められる貸付利率と定め、この利率によって役員または使用人に対して金銭を貸し付ける場合
(c) 利息が年間5,000円未満の場合
適正利率と貸し付けている利率との差額分の利息が1年間で5,000円以下の場合

そのため、会社が役員に金銭を貸し付ける場合、通常の利率で利息を収受していれば、課税関係は生じません。役員に金銭の貸付けを行う場合には、以下に注意が必要です。

(1) 根拠書類の作成・保存
役員に金銭の貸付けを行う場合には、金銭消費貸借契約書と取締役会議事録を作成・保存しておきましょう。
(a) 金銭消費貸借契約書:
貸付けがあった都度、貸付額・適正な利率・返済期日を記載し、契約書と併せて返済計画表を作成しておくとよいでしょう。
(b) 取締役会議事録:
会社から役員への金銭の貸付け行為は、会社法上、利益相反取引として、取締役会の承認が必要です(取締役会非設置会社の場合には、株主総会の承認)。税務上は、取締役会議事録を作成することによって、役員貸付金が正常な取引により発生したことを証明でき、給与課税されるリスクを軽減することができます。

(2) 金融機関の評価
銀行に融資を依頼する場合、過大な役員貸付金があると評価は悪くなり、「役員貸付金を消す(返済する)ことができたら融資します」と言われるケースがあります。
金融機関は、役員貸付金は不良債権として認識されます。会社から借りたお金を社長が返済していないと見られるため、融資しても社長個人に流れてしまうのではないかと疑われてしまうのです。

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