不動産賃貸仲介を営む不動産業者ですが、本社ビルは、創業者である現会長名義の土地に建てられています。しかし、賃貸借契約書は作成しておらず、地代については、資金繰りがよい時など随時支払っておりました。
1.ポイント
会長と会社間で賃貸借契約書を作成していないと、過年度分の未払地代家賃としての支払いが、金銭の贈与すなわち寄附金として認定されてしまう可能性があります。
2.解説
注意しなくてはならないのは、一般に考える寄附よりも、法人税法上の寄附金は非常に範囲が広いものだということです。募金するようなケース以外に、誰かに物品をタダであげた場合や、時価よりも安い価格で譲った場合に、本来受け取っていた代金との差額を寄附金と認定します。このように、会社が利益を追求しない行動をとると、税務上は寄附金の課税関係が生じてしまうことになります。
今回の事例については、金銭の授受が寄附金と認定されるリスクを軽減するために、賃貸借契約書を作成し、賃料、対象者、対象資産、対象期間を記載することにより、金銭の授受が対価性を有することを明確にするなど、根拠資料を残しておきましょう。後は余裕のある都度払いはやめ、払えなかったときには未払金や、借り入れなどにしておきましょう。