海外の建設工事現場とトンネル掘削機の製造業者を視察するために、社員を海外に出張させました。日程の都合上、一部観光を行いましたが、それも含めて、交通費および宿泊費を「旅費交通費」として処理しました。
1.ポイント
海外技術の視察のために必要な費用については、旅費交通費として費用に計上されますが、観光に関するものについては、その社員への現物給与となります。この場合において源泉徴収所得税が課されます。その社員がその法人の役員である場合には、役員賞与として、損金不算入になります。
2.解説
海外渡航が法人の業務の遂行上必要なものであり、かつ、支給する海外渡航費が通常必要であると認められる金額の範囲内であれば、旅費交通費として損金の額に算入することができ、それ以外はその観光をした社員への現物給与となります。なお、業務遂行上必要と認められる旅行と認められない旅行(観光旅行等)とを併せて行った場合、原則として、海外渡航に要した旅費をそれぞれの期間の比等で按分して旅費部分と現物給与となる部分を計算します。ただし、海外渡航の直接の動機が業務遂行のためのものである場合には、その往復の旅費は按分する必要はなく旅費として処理することができます。
海外渡航が業務遂行上必要であることや旅費の額が通常必要と認められる範囲内であることを説明できるように、出張報告書や海外出張旅費規定などの書類を整備して、保存しておきしましょう。
また、海外出張の合間の一部観光などの支出部分に関しては、公私を区別していることを説明できるようにしておかなければなりません。