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兄に家族がおらず死亡しました。兄の相続人は母かなと思っていたものでそのままにしておいたのですが、後で計算してみると、母経由で兄の財産を相続すると相続税が結構かかることを知りました。
1.ポイント
子供のいない子が先に死亡しても、親が相続放棄していれば兄弟姉妹がもらうことができます。
2.解説
相続人の順位は民法で規定されていますが、被相続人に子供がいない場合、次の順位の相続人は親が存命であれば親となります。この時被相続人が相続税のかかるくらいの財産を保有していますと、まず親に相続税がかかり、次にその親に相続が起きると、その子(被相続人からみて兄弟姉妹)が財産を相続することになりますので、通常、短い期間内に同じ財産に対して、2度も相続税がかかってしまいます。
また、親が高齢であればあるほど、贈与などの相続対策の方法が限られてきてしまいます。親にそれほど財産がなく、相続税がほとんどかからないようであれば別ですが、そうではない場合、できれば親が相続しないほうが相続税の上では有利となるケースが多いのではないかと考えられます。
そのとき、親が相続放棄をして、兄弟姉妹が相続人になる場合は、通常の相続税の2割増しの負担となってしまうことから、相続放棄を検討する前に十分な試算が必要となってきます。
相続が発生したら、相続人は相続するか、しないかを、決めなければなりません。なお、相続放棄する場合は、原則として相続開始があったことを知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所へ申述する必要があります。
相続放棄とは、相続人が相続する権利を放棄する方法です。相続放棄をしますと、その相続人は初めから相続人でなかったものとみなされます。そして、同順位の相続人全員が放棄をすると次の順位の相続人が相続人になります。
兄は独身のため、相続人の判定上、妻及び第1順位の子がおらず、第2順位の両親になりますが、父はすでに死亡しているため、母1人が相続人となります。そして、この母が子(兄)の財産を相続しないようにするためには、相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述します。そうしますと母は初めから相続人でなかったものとみなされ、次の順位の兄弟姉妹である弟が相続人となります。
相続人は、相続の開始があったことを知った日から3ヶ月の熟慮期間内に、相続放棄をしなければなりません。ただし、この熟慮期間内に相続人が相続財産の状況を調査しても、なお、決定できない場合には、家庭裁判所は、申立てにより、この3ヶ月の熟慮期間を伸長することができます。