今期に多額の納税が発生するのがわかったので、資材置き場の地代、工事損害保険料を年払いし、費用計上しました。
1.ポイント
資材置き場の地代と工事損害保険料は、工事の共通原価となりますので、未成工事に配賦する部分については、当期の損金とならない場合があります。
2.解説
前払費用について、損金算入が認められるためには下記の要件を満たす必要があります。
- 支払った時から1年以内に役務の提供を受けていること。
- 一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用であること。
当時例では、上記2点を満たしているため、支払った金額を今期に損金算入することができます。しかしながら、当該費用が工事原価に含まれる場合には、未成工事部分は棚卸資産として計上しなければなりません。今回の費用は間接原価(共通費)に該当するため、未成工事支出金に配賦する部分については今期の損金となりません。
また、短期前払費用の損金算入の要件を満たしていますが、その費用が工事原価に該当しますので、完成工事原価と未成工事原価に区分しなければなりません。事例を挙げると以下のようになります。
年払項目 | 金額 | 配布 | 金額 |
地代 | 300 | ||
工事損害保険料 | 250 | ||
合計 | 550 | 完成工事 | 340 |
未成工事 | 210 |
1年以内の短期前払費用については、収益との厳密な期間対応による繰延経理をすることなく、その支払時点で損金算入を認めるものであり、企業会計上の重要性の原則に基づく経理処理を税務上も認めるというものです。
ただし、「支払いから1年以内に提供を受ける役務に係るもの」とされているため、場合によっては支払時の損金として認められないケースもありますので注意が必要です。
また、継続適用が要件となっておりますので、利益が出たときのみ年払いをするわけにはいきません。
特に建設業においては、当該短期前払費用の適用を受けて費用処理したものが工事原価にあたる場合には、未成工事支出金に該当するものがないかどうかの確認が必要です。