不動産業を営んでおりますが、契約期間5年の損害保険料500万円を一括して支払いました。そのうち、支払った日から1年以内の期間に対応する金額を短期前払費用として損金経理をしていました。なお、この損害保険料は、売上げと対応するもので、当社では売上原価として経理処理していました。
1.ポイント
法人税基本通達に規定されている短期の前払費用の中には、たとえ支払った日から1年以内に役務等の提供を受けるものであっても、損金算入することができないものもあります。
2.解説
法人税基本通達2 – 2 – 14によれば、損金算入することができる短期前払費用とは、一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支払ったもののうち、
- 当該事業年度終了の時においてまだ提供を受けていない役務に対応するもので、
- その支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものについて、
- 継続してその支払った日の属する事業年度の損金の額に算入しているもの
とされています。
しかし、短期前払費用のうち、収益の計上と対応させる必要があるものについては、この適用はないものとされています。また、5年分を一括して支払っていることから、上記通達の(b)にあてはまらず、仮に売上原価でない場合でも否認されるものと思われます。
支払った日から1年以内に役務提供を受ける前払費用については、実務上損金経理をすることができると思いがちですが、損害保険料を収益と対応させているものについては、この取扱いができません。