海外子会社が軌道に乗るまで、あるいは業績不振に陥った後に日本の親会社が支援したときに、税務上どのような問題が生じるでしょうか。
1.立ち上げ時の海外子会社への支援
親会社が子会社を設立し、軌道に乗るまで面倒を見るのは経済的に当たり前の行為です。しかし資金援助するにも方法があります。立ち上げ時には相当な資金需要があり、信用力もないために自前で資金調達を行うことは不可能でしょう。そのため、親会社は子会社の株主として必要な資金を見込んで資本金を拠出し、不足分を貸し付けるのが原則と言えるでしょう。
しかし、その資金需要にこたえるために、親会社が無償で経営支援を行ったりすれば、寄付金課税の恐れが出てきます。例えば、親会社からの出向者の給料を日本の本社で払ったり、子会社従業員の教育訓練費を親会社でもったりなどです。低利や無利息の貸付金も原則として寄付金に該当することになるでしょう。
2.業績不振な海外子会社への支援
子会社を支援するために、無利息、通常より低い利率で貸し付けたり、資金を贈与するというケースはよく見られますが、通常はそのような経済的利益の供与は寄付金となります。しかし、業績不振で債務超過となっている子会社の倒産を防止するため、銀行等の債権者を交えて合理的な再建計画を策定し、これに基づいて低利ないし無利息でつなぎ融資をした場合には寄付金には該当しません(法基通9-4-2)。
またに、子会社への納入価格の調整によって行う場合には、独立企業間価格でなくなりますので、移転価格税制が適用され、独立企業間価格に引き直して課税されることになります。そのため、海外子会社への支援は、貸付金や資金贈与によるべきと考えられます。