グループ内の資産譲渡取引における税務

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

結構、利益が出てしまったので、親族の会社に売却して損を出しました。

1.ポイント
グループ内企業間の取引は譲渡損益が繰り延べになり、うまい具合に節税できるわけではありません。

2.解説
自分が複数会社を持っていて、その会社間だけでなく、親族の会社間にもグループ会社とみなされてしまうことがあります。この場合、100%支配グループ法人間における建物等の「譲渡損益調整資産」を譲渡した場合の譲渡損益は、法人税法上、繰り延べられます。そして、繰り延べた譲渡損益は、グループ外への譲渡、償却、評価換え、貸倒れ、除却等によって計上されることとなります。

(1) 100 %グループ法人の定義
「支配関係」及び「完全支配関係」の定義は以下の通りです

(a) 支配関係
支配関係とは、次の2つの関係をいいます。
①当事者間の支配関係
一の者(一の法人又は個人をいいます。以下同じです) が他の法人の発行済株式又は出資(以下「発行済株式等」といいます)の50 %超を直接又は間接に保有する関係
②法人相互の支配関係
一の者との間に上記①の関係(当事者間の支配関係)がある法人間の相互の関係

(b) 完全支配関係
完全支配関係とは、次の2つの関係をいいます。
①当事者間の完全支配関係
一の者が法人の発行済株式等の全部を直接又は間接に保有する関係
②法人相互の完全支配関係
一の者との間に上記①の関係(当事者間の完全支配関係)がある法人間の相互の関係

※なお、所有割合の判定に当たっては、 1)自己株式を除く、 2)5 %未満の従業員持株会所有株式及び役員または使用人のストックオプション行使による所有株式を除く、 3)間接支配を含む、とされています。

100 %グループ内法人に該当するものをいくつか例として挙げてみましょう。

1)親会社であるA 法人が100 % 出資してB 法人を設立
A、Bは100 %グループ内法人。

2)A 法人が100 % 出資してB、C の2 社を設立
A、B、Cは100 %グループ内法人。

3)A 法人が100 % 出資してB 法人を設立、その後A、B 両法人が50 % ずつ出資してC 法人を設立
A、B、Cは100 %グループ内法人。

4)個人A がそれぞれ100 % 出資してB 法人、C 法人を設立
B、Cは100 %グループ内法人。

5)一定の同族関係者である個人A と個人B がそれぞれ出資してC 法人、D 法人を設立
C法人には個人Aが60 %、個人Bが40 %を出資
D法人には個人Aが80 %、個人Bが20 %を出資
個人A、個人Bは「一定の同族関係」にあるとき

 C、Dは100%グループ内法人。

なお、「一定の同族関係者」の範囲は、法人税法で規定する「同族関係者」と同じで、判定対象となる個人の6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族に加え、事実上婚姻関係にある者など特殊な関係にある個人も含まれます。

6)父と母と子がそれぞれ100 % 株式を保有している法人
3法人間に直接的な資本関係がない場合でも、法人税法上はグループ法人税制が適用。

以上のように、グループ内法人間で資産の譲渡を行った場合は、グループ法人税制における譲渡取引の損益繰延などの対象となります。

(2)譲渡損益の損益繰延べの対象
100%グループ内で「譲渡損益調整資産」を譲渡した場合、会計上は譲渡損益を認識しますが、法人税法上は益金算入(譲渡損)、または損金算入(譲渡益)をして、課税を繰り延べる処理を行います。

なお、譲渡損益調整資産とは、固定資産、土地、有価証券、金銭債権及び繰延資産で次に掲げるもの以外のものをいいます。
(a) 売買目的有価証券
(b) 譲受法人において売買目的有価証券とされる有価証券
(c) その譲渡の直前の帳簿価額が1,000万円に満たない資産

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

税理士がいない!税務調査立ち会い代行します

税務調査プロでは、

個人事業主、フリーランスの方など税理士がいない方への

税務調査立ち会い代行サービスを行っております。

お電話でのお問い合わせ:050-3627-7700 まで。


ご相談・お問い合わせはこちら

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*