相続対策のために妻に自宅を贈与しようと考えました。そうすると、登録免許税はかかる、不動産取得税はかかる。色々と税金がかかるじゃありませんか。
1.ポイント
贈与する前に、登録免許税や不動産取得税がいくらかかるか確認しましょう。さらに贈与で相続税が減少するかどうかを確認しましょう。
2.解説
- 夫婦の間で居住用の不動産を贈与した時の配偶者控除の概要
婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除できるという特例があります。
- 不動産移転にかかる贈与税以外の税金
贈与により不動産を移転した場合には、贈与税は非課税であっても、登録免許税や不動産取得税が相続時の移転に比べて高くなります。したがって生前贈与すべきかどうかは、十分に検討が必要です。
<所有権移転にかかる登録免許税の税額>
相続による移転:固定資産税評価額×4/1,000
贈与による移転:固定資産税評価額×20/1,000
<不動産取得税の税額>
内容 | 土地 | 建物 |
相続による取得 | 非課税 | 非課税 |
贈与による取得 | 固定資産税評価額×1/2(※1)×3/100(※2) | 固定資産税評価額×3/100(※2) |
※1:平成30年3月31日までに宅地等を取得した場合は、取得した不動産の価格に2分の1を乗じます。
※2:平成20年4月1日から平成30年3月31日までの所得の場合
では、相続と贈与どちらが得かは個々のケースにより異なります。
相続により被相続人の自宅を配偶者が取得した場合には、小規模宅地等の特例を適用することにより、土地の評価を330平米まで80%減額することができます。
さらに、配偶者が相続により取得した財産については、配偶者の税額の軽減の特例を適用することにより、1億6,000万円または配偶者の法定相続分相当額のいずれか多い金額までは相続税がかからない制度があります。
これらの特例を活用しても、自宅を生前贈与したほうが相続税の負担が低くなる場合には、贈与を検討するべきでしょう。ただし、登録免許税や不動産取得税の負担額についてもあわせて考慮する必要があります。
いずれの場合でも、贈与によって相続税がいくら減少するのか、その代わりに贈与によって登録免許税や不動産取得税がいくら増加するのか、試算をする必要があります。