数年前に社員の福利厚生目的として、軽井沢に保養所を購入しました。しかし、社員が保養所を利用した実績はなく、社長とその親族のみが専属的に利用できる状況となっていました。
1.ポイント
保養所や別荘などの福利厚生施設を所有し、無償又は低額で役員や従業員に利用させた場合であっても、次の要件に該当すれば給与課税はされません。
(a) 利用者が受ける(経済的)利益が著しく多額でないこと
(b) 全従業員が利用できること
(c) 利用の状況を記録しておくこと
また、会員制のスポーツクラブやレジャークラブなどの福利厚生施設に事業者(一般的には法人会員)として入会した場合でも、役員の私的利用などでなければ同様の取扱いとなります。
2.解説
スポーツクラブ・保養所などの法人会費、利用料は、要件を満たすと福利厚生費として経費にできます。経費とするために、役員・従業員の全員が利用できるようにしておきましょう。利用規程・利用実績簿などを保存しておき、役員・従業員ともに利用できることを証明できるようにしておくとよいでしょう。
また、従業員の福利厚生のために、リゾート施設やレジャークラブに入会するときは、施設入会金の利用期間が長期になりますから、資産計上することになります。そのときに一部の役員が利用するためのものであれば、給与の扱いになるので注意しましょう。例えば、利用規約に、「役員・社員のうち希望者は誰でも利用できる旨」を入れ、利用申請手続きなども整備しておくと、客観的にみても、希望者が誰でも利用できることが分かります。
加えて、「いつ、だれが利用したか」が分かる利用実績表を作成しておくと実際に利用した人の名前が分かるため、役員・従業員が分け隔てなく利用していることが分かる資料となります。