課税要件法定主義-政令への委任の限界-

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東京高裁平成7年11月28日判決

(事件概要)

X:(原告・控訴人・被控訴人) 協同組合員の組合員

Y1:(被告・被控訴人)登記官

Y2:(被告・控訴人)国

Xは組合から土地と建物を購入し、所有権移転登記を受け、登録免許税を納付。そのときに軽減税率を知らなかった。その後軽減税率を知り、税額との差額の還付を請求。Yは還付を拒否。

1.論点

租税に関し政令以下の法令に委任することが許される場合について。

2. 判旨 控訴棄却

租税法律主義の下で租税法規を解釈する場合には、ある事項を課税要件として追加するのかどうかについて、法律に明文の規定がない場合、通常はその事項は課税要件ではないと解釈すべきもの。「政令の定めるところによる」との抽象的な委任文言があることを根拠として、解釈によりある事項を課税要件として追加し、政令以下の法令においてその細目を規定することは租税関係法規の解釈としては許されるべきものではない。

租税特別措置法施行令42条の9第3項及び同法施行規則29条1項が軽減税率による登記申請には特定の証明書の添付を擁するものとした部分は、証明書の添付という手続き的な事項を軽減税率による登記申請の受理要件という手続き的な効果を有するにとどめるものとして有効であるが、これを課税要件として、登記申請時に証明書の添付がなければ、後に証明書を提出しても軽減税率の適用がないとする部分は、法律の有効な委任がないのに、軽減税率の要件を加重したものとして無効。

3. 解説

租税に関する委任立法について、租税法律主義の観点からその限界を画する基準を提供するものとして先例的な意義を有する。課税要件として手続き的事項を定める場合には、そのこと自体を法律で定める必要がある。

全ての委任立法を禁止するのは現実的ではない。租税法には、その性格上、技術的事項が多く、法律だけでは対応しきれない。そこで白紙委任は許されないが、個別具体的な委任であれば許されるものとされている。しかも「法律自体から委任の目的、内容、程度等が明らかにされていることが必要」としている。

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