ソフトバンクグループ(SBG)の節税手法

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ソフトバンクグループ(SBG)が税金を支払っていないと騒いでいますが、具体的にはどのような方法なのでしょうか。

1.SBGの節税手法

先ずお断りしておきたいのは、SBGの行っていることは、倫理的にどうかというのは個人の主観ですから、横において置きまして、法的には何ら問題のない節税行為であるということです。従って、別に税金を適正に払えと言われる筋合いもありません。法的には。しかもウィーワークでもの凄い損失を出していますから、それだけでも課税所得は下がると思いますが、何兆円も営業利益が出ているのに数百万円しか法人税を払っていないことに違和感を持つ人も少なくないかと思われます。

最近のSBGを見ていると、携帯キャリアというよりは投資会社としての側面が強いと思われます。2016年に3兆円超で買収したイギリスの半導体設計大手アーム社がありましたが、アーム社は持ち株会社アーム・ホールディング(AHD)の参加にアーム・リミテッド(AL)という事業会社がぶら下がっています。つまりSBGを親とすると、AHDが子で、ALが孫ということになります。

2018年にAHDに1兆円の含み損が出たため、親子間で株を受け渡すことで評価損を作り出しました。SBGは、AHDが保有するAL株の多くを現物配当してほぼ非課税で譲渡しました。日本の税制においては、外国子会社から受けた配当には税金を課さないルールがあります(厳密には95%非課税)。AHDはAL株を放出したことで、企業価値が1兆円減少したことになります。

そして、ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)に、SBGがAHD株を現物出資で移転し、減少したAHD株の時価と、SBGがAHDを買収したときの簿価との差額がマイナスとなります。そのマイナスが赤字になったわけです。大赤字が出たから納税額が減ったということなのです。ここでみそなのは、事業が失敗したわけではなく、親子間で株を受け渡すことで作った赤字ということです。

2.新しい節税策とは

巨額の利益を出しながら、税金を支払わないということで、税務当局もこのままではいられません。しかし税法を勝手に解釈して税金を課すことは、租税法律主義に反しますし、後だしじゃんけんをやられたら、ビジネスになりません。そこで、税制を改正することで対応せざるを得ません。

税制改正案では、親会社が子会社から一定の配当を受け取った場合、親会社が持つ子会社の帳簿上の価額を強制的に引き下げることで赤字を出せないようにするという手段を検討中ということです。

租税回避策は、倫理的には問題なのかもしれませんが、知的好奇心を湧かせるものです。へえ、よく考えたなあ、といつも感心させられます。そうは言ってもやはり、儲けたら税金払え、という方が多いとは思いますけれども・・・。

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