大阪高裁昭和53年3月30日判決
(事件概要)
X:(原告・被控訴人)織物、繊維製品、雑貨の売買と貿易を目的とする株式会社
Y:(被告・控訴人) 税務署長
T:訴外、繊維、化成品の製造と販売を目的として設立された株式会社
XとTは法人税法上の同族会社、XはTに無利息融資。Yは無利息融資につき年10%の利率による利息相当額を寄付金認定、更正処分。Xは異議申し立て。
1.論点
親会社が子会社に無利息で融資した場合、親会社はどう課税されるか。
2.判旨 原判決変更
法人税法22条2項の趣旨は、資本等取引以外において資産の増加の原因となるべき一切の取引によって生じた収益の額を益金に算入すべきものとする趣旨。
金銭の無利息貸し付けの場合、貸主は利息相当額の金銭を取得しないため、何らかの経済的利益の享受があったと認識できなければならない。
借主の方でこれを利用する期間で果実相当額の利益を享受したとし、貸主から借りぬ地へ利益の移転があったと考えられる。
営利を目的とする法人が何らの合理的な経済目的も存しないのに、利益を他に移転することはあり得ない。
利息相当額の経済的利益が借主に移転して顕在化したといえ、利息相当額の経済的利益が無償で借主に提供されたものとして、当該法人の収益として認識されることになる。
利息相当額は、経済的利益の供与を受けているか、利益を手放すことを合理的とする何らかの経済目的で無償で供与したと認められない限り、寄付金として取り扱うべき。