軽油引取税の納税義務者

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最高裁平成22年2月16日第三小法廷判決

(事件概要)

X:(原告・控訴人・被上告人)軽油取引会社

Y:(被告・被控訴人・上告人)税務署長

訴外Aの工場を介していたが、同時期に複数の者から重油等の持ち込みを受けており、Xを含むこれらの者が搬出した軽油がどの顧客の持ち込んだ原料から製造されたか判然としなかった。Yは、Xが軽油を製造して譲渡したと認定し、軽油引取税に係る課税標準量、税額及び不申告加算金額を決定する処分をした。Xは軽油を製造していないとして本件処分の取り消しを求めた。

1.論点

他の者に重油や灯油を引き渡して軽油の製造を委託し、受け取った軽油を譲渡していたものが軽油引取税の納税義務者となるか否か。

2.判旨 破棄差戻

本件規定をはじめとする方の文言・趣旨からは、製造が軽油の所有権を原始取得する場合に限定するという根拠を見いだせない。

軽油の製造や剰余に関与した行為者が複数存在する場合には、軽油の原始的所有権の帰属や、全過程における各行為者の行為態様、意図、利益、リスクなどを総合的に勘案し、実質的に果たした役割から、ある者が軽油を製造して他に譲渡していたと評価できれば、その者が納税義務者にならないとは言えない。Xは主体的に取引を行う立場の者と認められる。

3.解説

本件規定は、特約業者及び元売業者を起点とする流通過程から外れて製造・譲渡される軽油について租税負担の公平を図る見地から特約業者または元売り業者以外の者から軽油の製造・譲渡をした場合に、当該軽油の譲渡引き取りとみなして納税義務を課す(みなし課税)。

本件規定の趣旨が経費引取税の免税防止という点にあり、軽油の製造に加えて譲渡も要件としていることからすれば、軽油の製造をした者は、取引の全過程を通じて主導者と判断しえる者をいう。

また、法改正がなされ、法800条の4の2第1項において、不正軽油について納税義務を負う者が特定できないとき、軽油の製造を行った者が納税義務者と連帯して納税義務を負うとされた。

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