みなし贈与

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大阪高裁平成26年6月18日判決

(事件概要)

X:(原告・控訴人)歯科医師

Y:(被告・被控訴人・被上告人) 税務署長

Xは父Bの死亡共済金の受給権者に指定されており、死亡共済金を受領。しかしこれを所得金額に含めていなかった。税務署長は、更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分。取り消しを求めXが出訴。

1.論点

本件共済金の受給が相続税法9条に規定するみなし贈与に該当し、所得税法9条1項15号により非課税所得となるか。

2.判旨 控訴棄却

相続税法9条の趣旨は、私法上贈与等によって財産を取得した者とは言えないが、そのような私人間の法律関係の形式とは別に、実質的に見て、贈与等を受けたと同様の経済的利益がある場合、租税回避行為を防止するための制度。

本件については、Bが負担金に相当する経済的利益を失うことで死亡共済金の受給権者に指定されたXが何らの対価の支払いなくして上記経済的利益を教示したものと言えず、BとXとの間に贈与と同様の経済的利益の移転があったとは認められない。

Cが会員に提供する意思年金は、会員が65歳に到達した場合に会員に支給される養老年金も、支給されることとされ、遺族年金の額も、養老年金受給前であれば払い込み済み保険料と利息相当額が支給され、受給後であれば保証期間の残余給付期間に係る年金と同額が支給されることとなっていると認められる。

本件共済制度の死亡共済金とは異なり、遺族年金の受給は贈与と同様の経済的利益の移転があったというべき。

3.解説

本件では相続税法9条の要件として、贈与と同様の経済的利益の移転があったこと、即ち、一方的当事者が経済的利益を失うことによって他方当事者が当該経済的利益を享受したことと言う解釈を示した。

被相続人の死亡を起因とした経済的利益の享受であっても、相続税法3条1項各号に該当しなければみなし相続課税の対象とならないことがある。

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