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(パラツィーナ事件)
最高裁平成18年1月24日第三小法廷判決
(事件概要)
X:(原告・控訴人・上告人)不動産業を営む株式会社
Y:(被告・被控訴人・被上告人)北税務署長から承継し西宮税務署長
エンペリオン:民法上の組合(映画フィルム)
IFD:配給権を付与されたオランダの非公開会社
Xがエンペリオンへの出資割合に応じて、減価償却費を損金計上
1.論点
日本の法人税法の解釈論として、減価償却資産がある納税義務者に帰属すると判断する基準は何か。
本件映画が減価償却資産としてXに帰属したか。
→納税義務者への課税物件の帰属の基準につき、必ずしも所有権を基準とするものではないことを明確にした。
2.判旨 一部却下、一部棄却
本件組合は、本件映画の所有権を取得しても、ほとんどの権利はIFDに移転している。実質的には、本件映画についての使用収益権限及び処分権限を失っている。
本件組合員は、配給事業がもたらす収益について関心を持っていたとは言えない。
本件映画は、本件組合の事業において収益を生む源泉とみることはできず、減価償却資産には当たらない。
3.解説
本判決では、第1に課税庁側が主張し、原審が是認していた、事実認定・私法上の法律更正による否認論を採用しなかった。第二に事業の用に供しているという政令にも用いられている文言にかこつけ、納税義務者への課税物件の帰属の基準につき、必ずしも所有権を基準とするものではないことを明確にした。