建物賃貸借立退料の課税仕入れ該当性

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東京地裁平成9年8月8日判決

(事件概要)

X:(原告・控訴人・上告人)扇子製造販売

Y:(被告・被控訴人・被上告人) 税務署長

X所有の建物に対して賃借人に立退料を支払い、建物の明け渡しを受けた。立退料を課税仕入れとして仕入税額控除。Yはこれを認めず更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を行った。Xは不服として出訴。

1.論点

立退料に係る消費税相当額について仕入税額控除が認められるかどうか。

2.判旨 請求棄却

資産の譲渡とは、権利、財産、法律上の地位等を同一性を保持しつつ、他人に移転することを言う。消費税法はこれら資産の譲渡により、譲渡人の下で生じた付加価値が移転すると捉え、消費税の課税対象とした。権利などの資産が消滅した場合には付加価値が移転するとすることはできない。

立退料は補償金としての性格を有するが、借家権の対価とみるべき部分があるとしても、観念上のものであり、Xと賃借人の合意解除により終了し消滅したものとみるほかなく、賃借権の売買がされたということはできない。

3.解説

営業用建物の賃借権の合意解除に際して、賃貸人である事業者から賃借人に対して支払われる立退料が消滅する資産の対価であることを知友として、立退料の資産の譲渡の対価性及び課税仕入れの該当性を認めなかった。

なお、所得税基本通達では「立退料のうち、借家権の消滅の対価の額に相当する部分の金額は、令第95条に規定する譲渡所得に係る収入金額に該当する」(同通達33-6)として借家権の存在を前提としているが、消費税法基本通達では、「立退料は賃貸借の権利が消滅することに対する補償、営業上の損失又は移転等に要する実質補償等に伴い授受されるものであり、資産の譲渡等の対価に該当しない」(同通達5-2-7)とするのみで借家権の存在を言及していない。

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