最高裁平成17年2月1日第三小法廷判決
(事件概要)
X:(原告・控訴人・上告人)免税事業者と思い込んでしまった事業者
Y:(被告・被控訴人・被上告人)税務署長
税抜価額で基準を下回った企業が免税事業者であると消費税の申告をしなかったが、Yは課税事業者であるとして消費税の決定及び無申告加算税の賦課処分決定。
1.論点
課税売上に消費税分は入るか否か。
2.判旨
課税資産の譲渡等の対価として収受された金銭等の額の中には、当該資産の譲渡等の相手方に転嫁された消費税に相当するものが含まれる。免税事業者については消費税相当額を控除することは法の予定しないところ。
基準期間における課税売上高を算定するにあたり、課税資産の譲渡等の対価の額に含まないものとされる「課されるべき消費税に相当する額」とは、基準期間に当たる課税期間について事業者に現実に課されることとなる消費税の額を言い、事業者が同条1項に該当するとして納税義務を免除される消費税の額を含まない。
3.解説
判決をまとめると次のようになる。
- 法9条に定める基準期間における課税売上高とは、事業者の取引の規模を測定し、把握するためのもの
- 法28条に定める消費税の課税標準は、事業者が行う取引規模を直接示すもの
- 法28条に定める消費税の課税標準は、転嫁された種御費税相当額を控除するものであるが、納税義務を負わない免税事業者は消費税相当額を転嫁すべき立場にないから、これを控除することは法の予定しないところ
- 基準期間における課税売上高を算定するにあたり、課税資産の譲渡等の対価から控除されるべき課されるべき消費税に相当する額とは、基準期間に当たる課税期間について、事業者に現実に課されることとなる消費税の額を言い、納税義務を免じられた消費税の額を含まない。