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(事件概要)
X:(原告・控訴人・上告人)匿名組合員Aの相続承継人
Y:課税処分庁
航空機リース事業の匿名組合の損失が不動産所得の損失であるとして、申告をしたが、不動産所得の損失はないとして、更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分をした。Xが各処分の取り消しを求めた。
1.論点
個人の匿名組合が匿名組合契約に基づき営業者から受ける利益の分配につき、雑所得か事業所得か。
2.判旨
匿名組合員については営業者が行う営業のために出資をしてその営業から生じる利益の分配を受けるものとする一方で、その出資は営業者の財産に属し、営業者の業務を執行し又は営業者を代表することができず、営業者の行為について第三者に対して権利及び義務を有しないものとし、所定の条件の下で営業者の貸借対照表の閲覧又は当社の請求をし、営業者の業務及び財産の状況を検査することができるにとどまるものとしている。
匿名組合員は、営業者の営む事業に対する出資者としての地位を有するにとどまるものと言えるから、匿名組合契約に基づく営業者の営む事業への投資に対する一種の配当としての性質を有するものと解される。
匿名組合契約に基づき、匿名組合員が営業車から受ける利益の分配にかかる所得は、当該契約において匿名組合員に営業者の営む事業に係る重要な意思決定に関与する等の権限が付与されており、実質的に営業者と共同して事業を営むものとしての地位を有する者と認められる場合には、当該事業の内容に関わらず、その出資が匿名組合員自身の事業として行われているため事業所得となる場合を除き、雑所得に該当するものと解するのが相当。
本件についてみるに、重要な意思決定に関与するなどの権限を付与されていない、この所得は雑所得というべき。
3.解説
平成17年の所得税基本通達改正を機に、匿名組合契約に係る税務上の取り扱いについて基本的な考え方が変更された。
- 匿名組合契約に基づいて営業者から利益を分配された場合は雑所得
- 重要業務執行の決定を行っている等営業者と経営している場合は、事業所得または営業内容に従ったその他の各種取得