リミテッド・パートナーシップの租税法上の扱い

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最高裁平成27年7月17日第二小法廷判決

(事件概要)

X:(原告・被控訴人・被上告人) 海外不動産投資事業への参加者

Y:(被告・控訴人・上告人)国

Xが海外のリミテッド・パートナーシップの持ち分を取得、ここでの所得を不動産所得に該当するとして、損失の金額を控除、所轄税務署長は、当該賃貸事業により生じた所得が不動産所得に該当せず、損益通算もできないとして更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分。Aがその取消を求めて訴えを提起。

1.論点

デラウェア州LPSが行った海外不動産の賃貸事業から生じた損失について、出資者における損益通算の可否

2.判旨  原判決破棄・差戻、第一審判決取消、請求棄却

本件各LPSは所得税法2条1項7号及び法人税法2条4号に共通の概念として定められている外国法人として我が国の租税法上の法人に該当するか否かが問題となる。

ある組織体が権利義務の帰属主体とされることが法人の最も本質的な属性であり、そのような属性を有することは、わが国の租税法において法人が独立して事業を行い得るものとして、その構成員とは別個に納税義務者とされていることの主たる根拠であると考えられるうえ、納税義務者とされるものの範囲は客観的に明確な基準により決せられるべき。

日本法上の法人に相当する法的地位が付与されていること、または付与されていないことが疑義のない程度に明白である場合、そのことをもって当該組織体が所得税法2条1項7号等に定める外国法人に該当する旨又は該当しない旨の判断をすることが相当であると解される。

本件各LPSは、自ら法律行為の当事者となることができ、法律効果が本件各LPSに帰属するものといえるから、権利義務の帰属主体と言える。LPSも外国法人に該当する。

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