交際費の意義~萬有製薬事件~

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

東京高裁平成15年9月9日第三小法廷判決

(事件概要)

X:(原告・控訴人・上告人)医家向け医薬品の製造販売を業とする株式会社

Y:(被告・被控訴人・被上告人) 税務署長

Xは医師から医学論文等の英文添削の依頼を受けたが、添削業者に3倍以上の料金を支払い、それが発覚。Yは英文添削を依頼した医師等がXの事業に関係ある者に該当し、支出の目的外資への接待に当たり、交際費の額になり、損金の額に算入されないとして、Xの法人税につき更正処分。交際費ではなく寄付金であると主張し、更正処分の取り消しを求めて提訴。

1.論点

措置法61条の4の交際費の意義。

2.判旨 原判決取消

交際費に該当するためには、支出の相手方が事業に関係があり、支出の目的が事業関係者等との間の親睦の度合いを密にして取引関係の円滑な進行を図ること、行為の形態が接待、供応、慰安、贈答に類する行為であることが必要。

本文英文添削は若手研究者の研究発表を支援する目的で始まり、金額は多額であるが、添削の依頼者は若手講師や助手であり、Xの取引との結びつきは強くはない。取引関係の円滑な進行を図るともいえない。さらに差額負担は接待等とは異なり、学術奨励という意味合いが強い。

3.解説

従来は二要件説(支出の相手方、目的)だったが、本件では三要件説で判定。なお、オリエンタルランド事件では事業関係者等に交付され、実際に使用された自社遊園施設への無償入場券について、役務の提供に係る原価を交際費等に該当するとした。個別事情によって異なるため。既定の目的を斟酌し、支出ごとの具体的事情に即した実質判断が必要。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

税理士がいない!税務調査立ち会い代行します

税務調査プロでは、

個人事業主、フリーランスの方など税理士がいない方への

税務調査立ち会い代行サービスを行っております。

お電話でのお問い合わせ:050-3627-7700 まで。


ご相談・お問い合わせはこちら

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*