最高裁平成18年1月24日第三小法廷判決
(事件概要)
X:(原告・被控訴人・上告人)旺文社ホールディングス
Y:(被告・控訴人・被上告人)税務署長
A:Xのオランダ100%子会社 アトランティック社
B:センチュリー文化財団のオランダ100% アスカファンド
XはAに対して特定現物出資。税務上の簿価と時価を圧縮記帳し含み益についての課税を繰り延べ。AがBに第三者割当増資。XのAに対する持ち分は100%→6.25%へ低下。払込金額は有利発行で、XからBへの資産価値移転が生じた。当時の日蘭租税条約では、受贈益に課税されず、Bは公益法人であり、タックスヘイブン対策税制の適用で我が国の法人の課税所得と合算課税されず。Yは更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分。第1審ではX勝訴。控訴審ではYが逆転勝訴。Xの上告。
1.論点
私法上の意味における取引の当事者でない者の間において、資産価値の移転があった場合にも同行の適用で、当該価値を移転した者に対してキャピタルゲイン課税を認められるか。
法人税法22条2項を活用することで、クロスボーダー取引を用いて未実現のキャピタルゲイン課税を確保することができるか。
2.判旨 原審差戻
Xの保有するA社株式の資産価値はXが支配し処分できる利益。Xの支配の及ばない外的要因によって生じたものではなく、B社の了解で実現できたもので、法人税法22条2項に言う取引に当たる。