現在の事務所が手狭になり、近くに手頃な物件があるため引っ越しをすることにしました。その価格は600万円です。しかし中古物件のため、1,000万円の改装費用をかけました。耐用年数は中古ですので10年くらいと見積もりました。
1.ポイント
取得した中古資産について再取得価額の50%以上の資本的支出をした場合には、中古資産の残存耐用年数を使用することは認められておらず、新品を取得したのと同じ法定耐用年数を使用しなければなりません。このケースでは新品同様の法定耐用年数41年としなければなりません。
2.解説
中古資産を取得した場合に使用する耐用年数については、以下の順序で考えていきましょう。
取得した中古資産について資本的支出の金額があるか |
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YES |
NO |
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支出した資本的支出の金額がその中古資産の再取得価額の50%超か |
修繕費 |
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YES |
NO |
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法定耐用年数 |
支出した資本的支出の金額がその中古資産の取得価額の50%超か |
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YES |
NO |
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見積法 |
見積法又は簡便法 |
最初に、取得した中古資産を実際に使用するに当たって、資本的支出をしているかどうかを判定します。その判定の結果、資本的支出がある場合において、その資本的支出の金額がその中古資産の再取得価額の50%超になる場合には、新品を取得したのと同じ法定耐用年数を使用しなければなりません。
また同じく資本的支出がある場合において、その資本的支出の金額が中古資産の50%超になる場合には、見積法により計算した使用可能期間を用いることができますが、簡便法で計算した使用可能期間を用いることは認められていません。従い、使用可能期間を適正に見積もる必要があります。但し、見積法における特例計算を適用することも可能です。
念のため、見積法と簡便法を見ておきましょう。
- 見積法
法人が中古資産を取得した場合には使用可能期間を見積もることができますが、その見積もり方法については法人税法上、明確に規定されていません。そのため、何らかの方法で合理的に見積もることになりますが、法人が以下の算式により計算した年数を、その中古資産の使用可能年数としているときは、これを認めることとされています。
A ÷(B/C+D/E)=使用可能期間
(1 年未満の端数があるときは、これを切り捨てた年数とする)
A:中古資産の取得価額(資本的支出の価額を含む)
B:中古資産の取得価額(資本的支出の価額を含まない)
C:中古資産につき簡便法により計算した耐用年数
D:中古資産の資本的支出の額
E:中古資産の法定耐用年数
但し、中古資産を事業の用に供するにあたって、支出した資本的支出の金額が当該資産の再取得金額の50 %を超える場合には、上記の算式による計算はできません。
- 簡便法
法的耐用年数の全部を経過したもの
(算式)法定耐用年数×20/100=残存耐用年数
法定耐用年数の一部を経過したもの
(算式)(法定耐用年数−経過年数)+(経過年数×20/100)=残存耐用年数