資本金1,000万円で会社を設立しました。消費税免税のメリットを最大限に活かしたいと思い、12ヶ月後を決算月として事業年度を設定したところ、事業のもっとも忙しい時期が決算期となってしまいました。決算に時間がとられるので大変です。
1.ポイント
消費税免税点に気を取られて、繁忙期と決算期が重なってしまいました。決算時期は業務負荷が高まるので、業務が忙しくない時期に設定しましょう。
2.解説
会社設立の際には、必ず決めなくてはならない事項の一つに決算期(事業年度)があります。決算期をいつにするかは、特に決まりはありません。当然、12ヶ月を超える事業年度は認められていません。決算期を決めるときは、以下のような観点から検討しましょう。
(a) 業務負荷の観点
決算前後には、決算作業や棚卸等、特別な業務が発生するため、業務負荷が高まります。決算期から2ヶ月以内に税務申告をしなければなりませんが、業務の繁忙期と重なってしまうと大変です。忙しい時期を避けて決算期を設定しましょう。
(b) 決算期決定の観点
資本金1,000万円未満の会社でも、無条件に「設立後最大2年間は免税業者というわけではありません。例えば、第1期の上半期の売上(または給与等の支払総額)が1,000万円を超える場合は、第2期の納税が免除されないことになりました。例外として第1期が7ヶ月以下の場合はこれまでと同じように免税になります。
従い、1期目の最初の6ヶ月の売上または給与等の支払額が1,000万円を超える見込みがない場合は、1年目の事業年度が12ヶ月になるように決算期を設定し、1,000万円を超えることが予想されるのであれば、1期目は7ヶ月以下としたほうが有利となります。
(c) 資金繰りの観点
税金を納める時期(決算後2ヶ月以内)に資金が潤沢にあり、支払いに対応できるようになっていることも重要です。ボーナス時期、業種的に現金売上が少ない時期など、資金繰りが大変な時期に重なってしまわないように決算時期を設定するといいでしょう。
決算期を変更したい場合は、株主総会の特別決議等により定款を変更します。そして税務署・都道府県税事務所・市区町村に「異動届出書」と定款変更の議事録を提出します。事業年度を変更しても登記の必要はありませんので、比較的簡単に変更することができます。
関連会社の決算期との関係、業務の繁忙期との兼ね合い等をよく検討して決算期の決定または変更を行いましょう。まれに消費税の還付を早めに受けるために決算期の変更を行うことがあります。