妻のへそくりは相続財産か?

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夫からもらった生活費をコツコツ貯めていた妻のへそくりが、夫の相続財産であるとされてしまいました。

1.ポイント
贈与契約書を作成しておきましょう。

2.解説
その預金が「誰のものか」は、資金の原資と、実際の管理や支配、運用の状況などの具体的な事実から、真の所有者が誰かを判断します。

(a) 資金の原資
「誰が稼いできたお金なのか」ということです。無職無収入の人は財産を作れません。そのため、稼いだ人がその預金の所有者となります。専業主婦であれば、相続や贈与で財産をもらう以外には、自分の財産を持つことはありません。これが税務上の基本的な考え方です。

(b) 実際の管理や支配、運用の状況
「実際に通帳や印鑑・カードなどを持ち、預金を自由に出し入れしたり、使ったりしていたのは誰か」ということです。一般的に財産を管理する人と支配する人は一致しますが、夫婦の場合には「管理=妻」、「支配=夫」と、一致しないことがよくあります。支配している人とは大きな支出の権限を持っている人のことです。夫は平日の日中は仕事があり、銀行の窓口に行く時間がとれません。専業主婦やパートで働く妻が、夫の通帳や印鑑を持っていて、銀行に行き、生活費の出し入れをすることは、ごく普通にあるでしょう。この場合、妻は家族が生活するためのお金を夫から預かり、管理をしているだけです。そのお金を自由に使っていたとしても、支配していることにはなりません。夫からの包括的な同意を得て、「その家のお金」について、それらの行為を行っているだけだと考えられます。

従いまして、上記(a)(b)を両方満たす人、つまりお金を稼ぎ、大きな支出の権限を持っている夫が、そのお金の真の所有者となります。

奥様名義または別の方名義の預金が被相続人の名義預金と指摘されないように、都度、贈与契約書を作成し、奥様が積極的に通帳を活用しましょう。贈与契約書がなく、かつ、貯まったお金が使用されることなく通帳に入ったままですと、名義預金と指摘される可能性が高くなります。

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