夫の土地の上に妻が建物を建てたときの問題点

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先日夫が亡くなりました。夫の土地の上に妻が建物(アパート)を立てていましたが、土地を無償で自分が使用しているため、貸家建付地の減額ができないと言われてしまいました。

1.ポイント

使用貸借の場合、土地の評価において貸家建付地の減額がとれず、自用地評価となります。妻名義で安易に建築してしまったため、アパートに係る借入金を、夫の相続税計算上、債務控除することができず、このため相続税が上がってしまいます。

2.解説

具体例で示しましょう。土地1億円、アパートが2,000万円とします。

(a) 土地とアパートの両方が夫名義である場合

土地:1億円×(1-0.7×0.3)=7,900万円

※借地権割合0.7 借家権割合0.3と仮定

アパート:2,000万円×(1-0.3)=1,400万円

借入金 :▲3,500万円

夫の相続財産 ⇒ 相続税の課税対象

(b) 土地が夫名義、アパートが妻名義である場合

土地:1億円

アパ―ト:0円

借入金:0円

夫の相続財産 ⇒ 相続税の課税対象

相続税の計算においては、土地は、路線価方式または倍率方式により評価します。貸地やアパート敷地など、賃貸している場合には、評価額が減額されます。

<土地の評価>

自宅、別荘地自用地価額(100%評価)
(貸家建付地アパート、貸店舗等の敷地)自用地価額×(1-借地権割合×借家権割合)
貸地自用地価額×(1-借地権割合)

上記のとおり、土地の用途により、評価が変わります。最も評価額が低くなるのが、貸地です。一般的に地代は低く設定されている場合が多く、土地の上に他人の建物が建っていますから、土地の利用価値が低いことが相続税評価額にも反映されている、といえます。また、使用貸借は、親族間などで無償で貸し借りするため、相続税評価は借地人の権利を考慮せず、自用地評価となります。

相続税を計算する時は、財産を計上するだけではなく、亡くなった人の債務や葬式費用を相続人が負担した場合には、その金額を控除することができます。債務の具体例としては、亡くなった人が不動産貸付業を営んでいた場合には、賃貸物件に係る借入金、預かり敷金・保証金、未払の固定資産税・所得税などがあげられます。この事例の場合には、アパートの所有者は妻なので、夫の相続税を計算する時には、アパートの借入金や敷金を控除することはできないことになります。

アパート経営をしている方の中には、不動産管理会社を活用している方もいらっしゃいます。

例えば、夫が土地と建物を所有している場合に、妻や子供が出資して不動産管理会社を設立して、その会社の役員に就任します。不動産管理会社には、会社が物件の維持・管理をして夫から手数料を受け取る「管理委託方式」や、会社が夫から物件を一括借上げして、テナントへ転貸する「サブリース方式」などがあります。

会社には手数料収入または家賃収入が入り、そこから妻や子供に役員報酬を払うこともできます。事例では、建物を妻所有にして、妻に家賃収入が入るようにしていますが、不動産管理会社を活用して、妻が会社から給与をもらう方法にしたほうが良かったかもしれません。

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