源泉徴収と確定申告

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最高裁平成4年2月18日第三小法廷判決

(事件概要)
X:(原告・控訴人・上告人)訴外Aの役員や従業員
Y:(被告・被控訴人・被上告人)各税務署長

XらはAから一定額の金員の支給を受けたり、債務免除を受け、給与所得として源泉徴収し、国に納付した。Xらは確定申告において各金員は一時所得の収入として、源泉徴収額の一部の還付を求めた。Yらはいずれも給与所得に該当するとして還付金額を減額する更正処分。この処分の取り消しを求めて出訴。

1.論点
受給者が確定申告に記載する「源泉徴収された又はされるべき所得税の額」とは、正当に源泉徴収された金額であるのか、実際に源泉徴収された金額であるのか。

2.判旨 上告棄却
所得税法120条1項5号にいう源泉徴収をされた又はされるべき所得税の額とは、所得税法の源泉徴収の規定に基づき正当に徴収された又はされるべき所得税の額を意味するものであり、給与その他の所得についてその支払者がした所得税の源泉徴収に誤りがある場合に、その受給者が確定申告の手続きにおいて、支払者が誤って徴収した金額を、所得金額から控除し、誤徴収額の全部もしくは一部の還付を受けることはできないと解するのが相当。
源泉所得税の徴収、納付に誤りがあれば、支払者は国に対し当該誤納金の還付を請求できる。受給者は特別の手続きを経ることなく支払者に誤って徴収された金額の支払いを直接請求できる。
源泉所得税と申告所得税との各租税債務には同一性がなく、源泉所得税の納税に関しては国と法律関係を有するのは支払者のみ。源泉所得税の徴収、納付における過不足の精算を行うことは所得税法は予定していない。

3.解説
最判平成22年7月6日では、年金払特約付き生命保険契約に基づき納税者が支給を受けた特約年金の金額は相続税の課税対象となる経済価値とほぼ同一であるため、所得税の課税対象とはならないとしつつも、所得税207条所定の生命保険契約等に基づく年金の支払いをする者は、当該年金が同法の定める所得として所得税の課税対象となるか否かに関わらず、その支払いの際、その年金について同法208条所定の金額を徴収し、これを所得税として国に納付する義務を負うと解するのが相当、として、結果的に納税者による確定申告時における源泉所得税の徴収、納付に係る過不足の精算を認めた。最も、現行所得税法209条2号によれば、上記で扱われた年金については源泉徴収を要しないものとしている。

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