最高裁平成23年1月14日第二小法廷判決
(事件概要)
X:(原告・控訴人・上告人)破産管財人 弁護士
Y:(被告・被控訴人・被上告人)国
Xは破産債権であるA社の元従業員らの退職金に配当。所轄税務署長は、破産管財人報酬の支払いには所得税法204条1項2号、破産配当には同法199条が適用されるとして、源泉所得の納税国利及び不納付加算税の賦課決定。XはYに対し、これら義務がないことの確認を求め出訴。
1.論点
破産管財人は、管財人報酬を財団債権として自らに支払う場合にその報酬について所得税の源泉徴収義務を負うのか。そして元従業員の退職手当については所得税の源泉徴収義務を負うのか。
2.判旨一部破棄、一部認容 上告棄却
原判決のうち、(a)退職金債権に対する破産配当に係る源泉所得税及びその不納付加算税に関する部分を破棄。(b)同部分について第1審判決を取り消して源泉所得税の納税義務が存在しないことを確認。(c)不納付加算税の不存在確認請求については別訴の上告審判決で不存在が確定していることから確認の利益なしとして訴え却下。(d)Xのその余の上告は棄却。
破産管財人が支払いを受ける報酬は所得税法204条1項2号にいう弁護士の業務に関する業務に該当する。また、破産管財人は、その報酬につき、所得税法204条1項の支払いをする者に当たり、同項2号の規定に基づき、自らの報酬の支払いの際にその報酬について所得税を徴収し、これを国に納付する義務を負う。
退職手当等につき、所得税法199条の支払いをする者に含まれず、破産債権である退職手当等の債権に対する配当の際にその退職手当等について所得税を徴収し、これを国に納付する義務を負う者ではない。