不動産

不動産販売の消費税の経過措置

分譲マンションの販売を行う法人ですが、令和2年9月竣工予定の分譲マンションについて、事前にモデルルームを公開し、令和元年8月までに販売契約を締結しました。なお、当該マンションはモデルルームの仕様に限定され、注文者が壁の色又はドアの形状等について特別の注文ができないものとなっております。

指定日の前日までに譲渡契約を締結したため、請負契約と同様の経過措置が適用されると思い、当該分譲マンション販売について、旧税率として経理処理をし、消費税の申告を行ったところ、税務調査で工事の請負等に関する税率等の経過措置の適用は受けられないと指摘されてしまいました。

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賃貸収入の消費税の経過措置

オフィスビルの賃貸事業を行っております。当社は指定日(平成31年4月1日)の前日以前から各テナントと賃貸借契約を締結しており、当該賃貸借契約には、自動継続条項が定められており、いずれか一方からの解約がない限り、当初条件で自動的に賃貸借契約を継続しています。テナントとの契約のうち、自動継続条項の解約申出期限が令和元年7月1日のものがあり、解約申出期限が経過して自動継続された契約がありましたが、施行日以降の貸付けについて経過措置が適用されると思い、旧税率で経理処理し、消費税を申告しておりましたが、税務調査で経過措置が適用されず、新税率で適用されると指摘を受けました。

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賃貸アパートの取得時期の違いによる控除仕入税額の取り扱い

不動産賃貸事業を行う3月決算の法人ですが、これまでオフィス賃貸事業を行っており、新たに居住用賃貸事業を行うこととし、平成31年4月に居住用賃貸用のアパートを取得しました。当社の平成31年3月期及び令和2年3月期における課税売上高は概ね2億円で推移しております。当社はこれまで仕入税額控除の金額を個別対応方式により計算しており、令和2年3月期の課税売上割合は居住用賃貸事業を4月から開始したことで、100%から85%に低下したため、居住用賃貸事業の用に供する目的で取得した居住用賃貸用のアパートの建物に係る消費税額を課税標準額に対する消費税額から控除しませんでした。

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事業用不動産を取得から1年経過後に居住用賃貸不動産に転用した

不動産賃貸事業を行う法人ですが、マンション1棟を取得し、ウィークリーマンションの賃貸事業を開始しましたが、業績が芳しくないため、1年経過後に当該マンションを居住用賃貸に転用しました。以前から仕入税額控除の金額を個別対応方式により計算しています。転用に伴い特段の処理を行わず、消費税の申告を行いました。

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売買契約書に建物の消費税額を記載しなかった

不動産の仲介を行う業者ですが、個人の所有するマンションの一室の売買を仲介しました。売買契約は12月で、慌ただしく、個人同士の売買であったことから、売買契約書には取引総額の記載のみで建物の消費税金額の記載をしていませんでした。3月になり、買主の方から事業所得があり、確定申告をしなければならないが、建物の消費税額の記載がないため、確認してほしい旨の連絡がありました。

1.ポイント
売買契約書にはかならず消費税の記載をしなければなりません。不動産取引には、消費税が課税されるものと課税されないものとがありますが、建物売買には消費税がかかるため、建物部分の消費税額を契約書に記載する必要があります。消費税導入に合わせて出された建設省(現国土交通省)の通達により、不動産業者が作成する売買契約書には消費税を明記することとなっており、これに違反するものは宅地建物取引業法の規定により50万円以下の罰金に処される場合があります。

2.解説

消費税法上、土地及び土地の上に存する権利の譲渡、貸付けは非課税取引となります。マンション一室の売買には建物と土地の上に存する権利としての敷地権の両方の取引となるため、敷地権部分には消費税は課税されませんが、建物部分は消費税が課税されます。売買契約書には、宅地建物取引業法により消費税の記載が必要であり、記載しない場合には50万円以下の罰金に処されます。また、不動産業者に対する行政処分もありますので、注意が必要です。

モデルハウスの耐用年数

木造の家を実際にみてもらおうと、モデルハウスを出展しました。当期首に、地主との賃貸借期間が3年の土地に、建築費4,800万円がかかりました。そして、毎年1,600万円ずつの減価償却費を計上することにしました。

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不動産の購入に係る費用の取り扱い

不動産の売買には、仲介手数料・各種税金・固定資産税精算金等の諸費用がかかります。これらの費用のうち、販売用不動産の取得原価に算入しなければならないものとは何でしょうか。

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使い込みをした社員の退職時に貸し倒れ処理をした

当社は不動産仲介業者ですが、社員の仲介手数料の着服が発覚しました。そこで就業規則の規定通りに懲戒免職をしました。また、着服されたお金は返ってこない可能性が高く、貸倒損失としました。

1.ポイント

税務上貸倒損失になる要件は通達に規定されています。退職時にすぐに貸倒損失に計上することはできません。ひとまず会計上、着服金額相当を当該従業員への貸付金として計上しその後、要件が満たされた時点で貸付金の貸倒れとして処理をします。

2.解説

個人に対する貸付金の貸倒損失が認められるためには、客観的事実をそろえることが重要です。当該従業員の財産状況を調べ回収の努力をしたかということと、その事実を証明する根拠資料を用意しておきましょう。以下のような対応が考えられます。

チェックポイント必要資料理由
自宅はマイホームか賃貸か謄本回収できる財産の根拠となります。
マイホームは抵当に入っているか謄本借入残がある場合、回収できない根拠となります
警察に被害届を出したか 警察の捜査により回収できないことが明らかになる場合があります。
弁護士を通じて損害賠償を請求したか 交渉により回収額が判明する場合があります。

退職時にすぐに損金処理するのではなく、根拠書類をそろえ、もう回収できないと分かった時点で貸倒損失の処理をしましょう。貸倒損失の損金計上については、なぜその時期に落としたのかという根拠をそろえられるかです。