租税判例

登録免許税の争い方

最高裁平成17年4月14日第一小法廷判決

(事件概要)

X:(原告・被控訴人・附帯控訴人・被上告人)阪神淡路大震災で建物が損壊し、新築

Y:(被告・控訴人・上告人)法務省登記官及び国

Xは建物登記について、大震災の免税措置を知らずに、通常の登録免許税を納付。その後、特例法の免税措置に気づき、税務署長宛てに法31条1項の通知をすべき旨を請求。Yは登録免許税の過誤納がないため、通知できないとして、国税不服審判所へ審査請求できる旨Xに通知。

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軽油引取税の納税義務者

最高裁平成22年2月16日第三小法廷判決

(事件概要)

X:(原告・控訴人・被上告人)軽油取引会社

Y:(被告・被控訴人・上告人)税務署長

訴外Aの工場を介していたが、同時期に複数の者から重油等の持ち込みを受けており、Xを含むこれらの者が搬出した軽油がどの顧客の持ち込んだ原料から製造されたか判然としなかった。Yは、Xが軽油を製造して譲渡したと認定し、軽油引取税に係る課税標準量、税額及び不申告加算金額を決定する処分をした。Xは軽油を製造していないとして本件処分の取り消しを求めた。

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帳簿不提示と仕入税額控除

最高裁平成16年12月16日第一小法廷判決

(事件概要)
X:(原告・控訴人・上告人)大工を営む個人事業者
Y:(被告・被控訴人・被上告人) 税務署長

所得税の確定申告をしたが消費税の申告は行わなかった。また収入金額や経費等の内訳を記載した書類を添付しなかった。税務調査でも交際費の費用以外の帳簿書類を提示しなかった。Yは課税仕入れを交際費分だけ認め、決定処分及び無申告加算税賦課決定処分。

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仮名記載と仕入税額控除

東京地裁平成9年8月28日判決

(事件概要)
X:(原告)医家向け専門の医薬品の現金卸売業
Y:(被告) 税務署長

YはXの税務調査を行ったところ、現金決済取引の仕入帳が仮名であり、消費税額の控除は認められないとし、増額更正処分。

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「資産の譲渡」の概念

福岡高裁平成24年3月22日判決

(事件概要)

X:(原告・被控訴人)内航海運業者

Y:(被告・控訴人) 税務署長

内航運航業界では船舶の過剰対策として、船舶建造を行うためには一定の割合で既存船舶を解体することを義務付けた。その解体費用につき、交付金を支払う制度がある。Xは上記制度を利用して、船舶建造をするために取引を行い、消費税込みで費用を支払った。

Xは本件承諾書取引及び預託金証書取引において、課税仕入れに含めて計算したところ、Yは課税取引に該当せず、仕入税額控除は認められないとして更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分。Xは取り消しを求めて提訴。

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課税仕入れにおける対価の意義

大阪地裁平成24年9月26日判決

(事件概要)
X:(原告・控訴人・上告人)ビルの管理運営、駐車場の経営及び区分所有建物の賃貸業
Y:(被告・被控訴人・被上告人)税務署長

各区分所有者全体で団体を構成。Xは各部屋を各賃借人に貸し付け、各賃借人は賃料の他、各部屋に係る管理費、諸経費をXに支払い。Xは各管理組合に管理費のうち一部を負担。Xは消費税の計算において、管理費の額を課税仕入れとし、各賃借人が支払った管理費相当額を課税売上に計上せず、申告。Yは更正処分。

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建物賃貸借立退料の課税仕入れ該当性

東京地裁平成9年8月8日判決

(事件概要)

X:(原告・控訴人・上告人)扇子製造販売

Y:(被告・被控訴人・被上告人) 税務署長

X所有の建物に対して賃借人に立退料を支払い、建物の明け渡しを受けた。立退料を課税仕入れとして仕入税額控除。Yはこれを認めず更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を行った。Xは不服として出訴。

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役務提供の内外判定

東京地裁平成22年10月13日判決

(事件概要)

X:(原告・控訴人・上告人)

Y:(被告・被控訴人・被上告人) 税務署長

A:Xとの間でスポンサー契約を締結

B:Xとの間でレーシングオペレーション契約を締結

Xは本件各課税期間の消費税において、本件各スポンサー契約における契約金は国外取引に該当し、課税対象とはならないとして申告。Yは課税対象となるとして更正処分。

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相続財産の評価~取引相場のない株式~

東京高裁平成25年2月28日判決

(事件概要)
X:(原告・被控訴人)
Y:(被告・控訴人) 税務署長
A:合成樹脂及び金属等による容器等の製造販売 通達178の大会社
B:不動産及び株式等の保有 中会社 BがAの74.7%の持ち分を保有、AがBの83.8%を保有。つまりAの評価額が上がればBも上がるという関係。

Xが相続した会社の相続税評価に関して、B社は財産評価基本通達189に規定する株式保有特定会社に該当するが、A社は該当しないとして申告。課税庁はどちらも該当するとして更正処分。

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相続財産の評価~上場株式の評価と相続開始後の財産価値の下落~

大阪地裁昭和59年4月25日判決

(事件概要)

X:(原告・控訴人・上告人)

Y:(被告・被控訴人・被上告人) 税務署長

訴外Aが死亡し、XらがAの資産を相続。分割協議未了のまま相続税申告書を提出。その後修正申告を提出し、また、死後認知に伴う相続人の増加を原因とする更正の請求を行った。また、相続財産のほとんどが株式であり、10年間の年賦による延納が許可された。しかしオイルショックに端を発した経済不況で、Xが取得したB社株式が倒産。株式がほとんど無価値になり、滞納。Yは滞納処分としてXの債権差し押さえ。Xは滞納処分の取り消し訴訟を提起。

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