租税判例

相続財産の評価~土地~

名古屋地裁平成16年8月30日判決

(事件概要)

X:(原告)

Y:(被告)税務署長

A:Xの父

Aの相続が開始し、申告したところ、Yがその相続財産中一部の土地について評価額に誤りがあるとして更生及び過少申告加算税の賦課決定処分。Xが不服として取り消しを求めた。

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相続税と同族会社の行為計算の否認

大阪地裁平成12年5月12日判決

(事件概要)
X:(原告・控訴人・上告人)広大な農地を所有していた人の相続人
Y:(被告・被控訴人・被上告人) 税務署長
Z:Xの親

農地を駐車場に転用するため、農業委員会に転用の届を行ったが、Zが死亡したためXはこれを取り下げ。相続税申告の際に2割減額で算定。しかしYは市街地農地にあたるとして時価を算定しなおし増額更正処分。
もう一つ、ZとXは有限会社を設立、駐車場事業を運営。A社から著しく低い価格で全額現物出資をする形でB社を設立。Zは地上権に伴うに地代をB社から得る。B社自体は赤字。二つの同族会社はZの死後、Aに吸収合併。B社の保有していたA社の出資を償却、減資。評価差額に対する法人税額相当額を控除。いわゆるA社、B社方式による租税回避。
相続税申告の際に、本件宅地等の更地価額から地上権割合90%を控除し時価を算定。Yは本件地上権設定契約は同族会社の行為計算に当たるとして、課税計算。

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小規模宅地の負担軽減措置

最高裁平成19年1月23日第三小法廷判決

(事件概要)

X:(原告・控訴人・上告人)A及びBの相続人

Y:(被告・被控訴人・被上告人) 博多税務署長

A及びB:Xと養子縁組をした夫婦。土地を所有。その後Xが相続。

Xは相続した土地が特定居住用宅地として相続税申告を行ったが、Yは本件土地ないし仮換値は措置法69条の3第1項1号の適用が受けられないとして、更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分。Xは異議申し立て。

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みなし贈与

大阪高裁平成26年6月18日判決

(事件概要)

X:(原告・控訴人)歯科医師

Y:(被告・被控訴人・被上告人) 税務署長

Xは父Bの死亡共済金の受給権者に指定されており、死亡共済金を受領。しかしこれを所得金額に含めていなかった。税務署長は、更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分。取り消しを求めXが出訴。

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贈与における財産取得の時期

名古屋高裁平成10年12月25日判決

(事件概要)

X:(原告・控訴人)宗教法人

Y:(被告・被控訴人) 税務署長

A:Xの父 市内に土地と建物を所有

Aが本件不動産を贈与。所有権移転登記を行ったが贈与税の申告を行わなかった。なお、公正証書を作成したのが昭和60年3月14日。移転登記が行われたのは平成5年12月13日。Yは贈与税の決定処分及び無申告加算税賦課決定処分。Xは、処分は既に除斥期間を経過しているとして、異議申し立てをして出訴。

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相続財産の種類~土地の売主の相続~

最高裁昭和61年12月5日第二小法廷判決

(事件概要)

X:(原告・被控訴人・上告人)Aの相続人

Y:(被告・被控訴人・被上告人)税務署長

A:土地の所有者

Aは農地をBに譲渡。Bらは中間金を支払った後、土地を訴外Cに転売。Aが急死したため契約の履行はおくれたが、残余代金は支払われた。

Aの相続人であるXは相続開始日には本件土地所有権はまだ移転してなかったため、相続財産は土地自体であるとして路線価に基づき相続税額を計算し納税申告を行ったが、Yは本件土地の売買代金債権を相続財産に算入し、更正、過少申告加算税の賦課決定処分を行った。Xは不服として提訴。

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移転価格税制における推定課税

東京地裁平成23年12月1日判決

(事件概要)

X:(原告)パチスロ台用モーターの製造販売を行う企業

Y:(被告)税務署長

A:Xの仕入先(国外の非関連者)

Aを介在させたことで仕入れ価格が2倍強となった。Xは租税特別措置法第66条の4第7項に基づき算定した価格を本件取引の独立企業間価格として更正処分。Xは取り消しを求めて出訴。

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独立企業間価格の意義(2) ~残余利益分割法~

東京高裁平成27年5月13日判決

(事件概要)
X:(原告・被控訴人)自動二輪車等の製造および販売を主たる事業とする内国法人
Y:(被告・控訴人)国
A:ブラジルの現地法人(マナウスフリーゾーン)

XとAは自動二輪車の部品等の販売及び技術支援の役務提供取引を行う。YはXの対価の額は租税特別措置法第66条の4第2項及び同法施行令39条の12第8項に定める残余利益分割法により算定された独立企業間価格に満たないとして、上記各事業年度の所得を増額する各更正を行ったところ、これを不服としてXが取り消し訴訟に及んだ。

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独立企業間価格の意義(1)~アドビ事件~

東京高裁平成20年10月30日判決

(事件概要)

X:(原告・控訴人・上告人)Pのソフトウェア販売支援等を行う会社

Y:(被告・被控訴人・被上告人) 税務署長

P:国外関連者 ソフトウェア開発企業

Xは親会社であるアメリカ法人から製品を購入し再販していたが、役務提供補形式へ取引の形態を変更させた結果、粗利は10%低下した。税務署長は、独立企業間価格を算定し、法人税の増額更正及び過少申告加算税の賦課決定処分を行った。

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タックスヘイブン対策税制の適用除外要件~来料加工~

東京地裁平成24年7月20日判決

(事件概要)

X:(原告・控訴人・上告人)カメラ用フラッシュユニットのメーカー

Y:(被告・被控訴人・被上告人) 税務署長

A:香港を本店所在地とする会社(原告の役員が設立)

B:中国広東省を所在地とし、カメラ用フラッシュユニットの組み立てを行う会社

AはBとの間で、Aが設備、原材料を無償提供し、完成した製品を全量無償で引き取り、AからBに対して加工賃を支払う委託契約、来料加工を締結。

YはAが租税特別措置法66条の6第1項及び同40条4第1項に特定外国子会社に該当するとして、Aの課税対象留保金額はXの益金に算入されるとして、更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分。

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